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不可解な地裁判決で住民はすぐに高裁へ上告

 

  たいへん遅くなりましたが、2008(平成20)418日に東京地裁で下された1審判決の詳細をお知らせいたします。結果からいって、今回も“門前払い”というかたちになりました。住民の生命や財産に関わる部分は、原告側の審査請求期限が過ぎたことを理由に訴えを却下し、かんじんの争点となった核心部分のテーマについてはいっさい判断・明言を避けるという、非常に“逃げ”の姿勢が顕著な判決内容となっています。また、新宿区建築審査会が犯した法律違反(住民側の反論期間中に誤って審査の裁決を下したこと)については、奇怪な「実質論」で判断するという不可解さです。当然ですが、近隣住民のみなさんはこの判決を不服とし、さっそく51日に東京高等裁判所へ上告しています。

■現在までの経緯

  (特例認定→下落合みどりトラスト基金設立から現在→建築審査会→裁判)

 

  新宿の高層ビルを望む目白崖線に沿った下落合の高台に、たぬきが棲む森がありました。この森は、前田子爵邸の移築建築Click!が建っていた570坪の敷地で、おとめ山公園から野鳥の森公園、薬王院の森へとつづく奇跡的に開発をまぬがれたグリーンベルトの中に位置しています。周辺を急斜面の崖(バッケ)や閑静な住宅に囲まれていたため、多くの住民にもあまり知られていない秘境のような森でした。

 

  2004(平成16)8月に敷地は相続のため、75,000万円で所有者の方より売りに出されました。下落合でも比較的安価だった理由は、敷地の周りが崖で囲まれ、幅4m1本の細道が30m以上つづくという特異な旗竿状の敷地だったせいで、法律的にマンションなど共同住宅は建築できず、1,000m2未満の住宅しか建てることができないからです。このため、多くの大手不動産会社は土地取得を見あわせました。

 

  2004(平成16)11月に、都市デザインシステムがこの土地を取得し、敷地内に繁る豊かな森を伐採して、到底違法で建てられるはずのない巨大な重層長屋(実質マンション)の建設計画が持ち上がったため、近隣住民のみなさんは新宿区建築課へ事情を聞きに出かけました。しかし、当時の新宿区建築課は「法的に問題はない」との一点張りで、住民側の疑問点・問題点についての詳細を明らかにしようとはしませんでした。そのため近隣住民は区長に直接面会を申し入れ、2004(平成16)1222日に豊かな森を後世に残すために、新宿区による土地取得を陳情することとなりました。ところが、中山新宿区長と住民とが会うまさに当日、新宿区の建築課(元課長K氏および元係長T)は、住民と区長との会談が予定されていることを知りながら、会談のわずか6時間前に区長にもまったく知らせることなく、区長名で法的規制の約3倍にあたる2,800m2を超える建築物の許可を、「特例認定」として出してしまいました。

 

  住民のみなさんは、それまで何度も計画の異常さや違法性を建築課に抗議していましたが、「質問されなかったから」という理由で、同課はこの「特例認定」についての情報すら近隣住民に伝えませんでした。住民の篤志家は区長との面談で、たぬきの森取得のために2億円寄付の申し出と、隣接地の区への寄贈の考えがあることを伝えていました。違法性をぬぐうことができない異例の「特例認定」のため、土地の評価額は上がり、翌日には都市デザインシステムから現建築主である新日本建設(千葉県)へと売却されてしまいました。

 

  一連の経緯や異常な認定の様子は、のちに日本テレビの「報道特捜プロジェクト」で取り上げられ、新宿区建築課の意味不明な苦しい弁明と、住民への隠蔽の実態が放送されました。また、たぬきの森を保存するために住民側は「下落合みどりトラスト基金」を設立、篤志家の2億円をはじめ全国のみなさんから敷地買収用の募金活動を始めました。それらの活動は多くの新聞、ラジオ、テレビなどのマスコミにも取り上げらたことは、みなさんもよくご存じのことと思います。中山区長は区議会で、建築課の法律を曲げた認定の愚行に遺憾の意を表明し、54,000万円の土地取得予算を計上し、「トラスト基金」の募金額と合わせ、当初の売り値である7億5,000万円を上まわる77,000万円の用意ができました。しかし、新日本建設は都内に残る稀少な自然保護の声にいさい耳を貸さず、大正時代に移築されたとみられる貴重な建築を解体し、たぬきが棲む屋敷森の多くも伐採してしまいました。

 

  周辺住民のみなさんは、明らかに脱法まがいの「特例認定」や、のちの建築確認処分を不服とし、新宿区建築審査会や東京地裁、東京高裁、最高裁へ順次提訴しました。さらに、新宿消防署からは建設予定地をめぐり、きわめて異例の「安全性に関する意見書」が新宿区へ提出されました。しかし、新宿区建築審査会は、この「特例認定」は建築確認で最終判断されるとして、処分性なし(審議に値しない)と審議逃避をしてしまいました。一方、裁判所は区建築審査会の「処分性なし」との判断は誤りであるとしたため、同審査会は住民の再審査請求に改めて審査し直した結果、今度は新宿区の「特例認定」は問題なしとの裁決を出しました。当然ですが、住民側はこれを不服として裁判所に提訴しましたが、原告がマンションの管理組合では「原告不適格」とされたため、またも裁判所で本格的な審議がなされませんでした。

 

  そこで、今回の提訴では周辺にお住まいの個人のみなさんが原告となり、東京地裁に改めて提訴しましたが、2008(平成20)4月に「特例認定」の不服申し出は期限切れという、またも門前払いの結果となりました。これまで、新宿区建築審査会と裁判所で、処分性の有無、原告の適格性の有無、そして審査請求の期限問題という“入り口”論ばかりで、住民側は4年以上もの貴重な時間を振り回され、提訴の核心となる「特例認定」と、それにもとづく建築確認についての議論はほとんど何もなされていません。現在は、東京高裁において係争中となり、同時に国土交通省へも再審査請求Click!を行なっています

 

  新宿区が矛盾しているのは、建築課が密室で行なった不可解な「特例認定」により、2,800m2もの建築物許可を出しておきながら、一方では、保存を求める声に対して1,000m2未満の建物しか建たない土地なので、区が土地を買収する場合の予算としては、その評価に見あった54,000万円の予算が上限である・・・としている点でも明らかです。つまり、たぬきの森に対して新宿区には、二重の法律適用が存在していることになります。建築課が「特例認定」で下した判断が新宿区としての解釈であるのなら、なぜ2,800m2もの建物が建てられる敷地としての土地評価をしないのか?・・・という、子供だましで支離滅裂な姿勢が目立ちます。

 

  このほかにも新宿区は、敷地に建っていた貴重な近代建築(和建築)をまともに評価しようとはせず(地方自治研修200512月号Click!)道とみどりの課は貴重な樹木の移植計画が持ち上がった際、住民側の「みどりの審査委員」が提出した樹木医の診断書の忠告を無視し(診断書の存在を知りながら読まなかった)移植を強行Click!したために貴重な樹木の1本が枯れてしまったことなど、その失態の数々を挙げればきりがありません。新宿区建築審査会も、委員長が審査依頼書をまったく読まずに審査会へ出席し、要領を得ないしどろもどろな発言を繰り返し、住民側はもちろん新宿区建築課からさえ失笑Click!をかいました。きわめつけは、建築確認を行なう際、崖の安全性調査がいまだ中途なのにも関わらず、「調査結果」によって安全性が確められたと「錯覚」して建築確認処分Click!を出してしまったり住民側の反論機会の日付を忘却して裁決してしまう(今回の地裁判決では不適切との指摘)など、新宿区や新宿区建築審査会の失態を積み上げれば膨大な数となります。住民側は、行政による嘘の上塗りと区内外への恥さらしに、もはやうんざりしています。

 

  一方、「下落合みどりトラスト基金」の活動では、新宿区の54,000万円の予算確保が曲がりなりにもつづいており、裁判結果によっては建築中の重層長屋は解体され、公園化の実現となる可能性が残っているため、現在でも活動をつづけています。最近、たぬきの目撃情報も多く寄せられ、幸い元気な姿Click!を見せてくれています。これら貴重な東京の自然を守るのは、いまを生きるわたしたちの使命だと考えています。「トラスト基金」がスタートしてから、来春で活動5周年を迎えようとしています。空前の寄付額と全国のみなさまからの声を背に、後世へ目白崖線の豊かなグリーンベルトを残していくために、今後とも活動をつづけてまいります。

■地裁における双方の主張

 

@新宿区が2004(平成16)1222日に行った特例認定(東京都建築安全条例43)の取り消し

 

●住民の主張

  問題の核心となる項目です。土地の周囲が崖地や木造建築が多く、4mの避難路1本しかない危険区画のため、本来は1,000m2未満の建築物しか建造できません。新宿区建築課は周囲に23mの安全空地や水利を整備することで、約3倍の2,800m2を超えるマンション様長屋(30)の建築に対し、特例認定処分を出しました(本来の入路は倍の8mが必要)。住民側は住戸の安全性が全く確保されておらず、火災の際は住民のみならず周囲に延焼がおよぶ危険性が高いと主張しています。

 

●新宿区の主張

  審査請求は、処分を知ってから60日以内に行うか、処分から1年以内に審査請求をしなくてはならないが、周辺住民の審査請求は期間を過ぎていたと主張(近隣住民を含むマンション管理組合は審査請求を60日以内したが、原告不適格となったため近隣住民と近隣マンションの住民個人の審査請求は建築審査や地裁の審議が長引いたことで、規定の1年を超えてしまっている)

 

●裁判所の判断

  新宿区の主張するように、審査請求自体が期間を徒過しているため、不適定法な訴えである。

 

●下落合みどりトラスト基金の見解        

 このような特例認定の許可は、全国的に見てもおそらく存在しないと思われます。事実、この認定に対する評価は、「建設は無理」というのが「トラスト基金」の行なった東京各区市へのアンケート調査Click!でも明らかです。さらに、新宿区と住宅事情が近似している隣りの渋谷区では、区が決めた特例認定の細則が存在しますが、それに照らし合わせても下落合の当該敷地に建物は建てらないという異常Click!なものです。裁判所は、審査期間を過ぎてしまったからという理由だけで、この大きな問題を片づけてしまってよいのでしょうか? 2007(平成19)611日の新宿区建築審査会の裁決では、新宿区の主張する徒過は住民側が「遅延なく審査請求しているので、行政不服審査法143項但し書きに定める正当理由があるものと考える」とし、新宿区の主張(住民の審査請求期間は過ぎている)は採用しないとしています。

  住民側は、マンション管理組合の行った同件の審査請求から始まり、提訴、周辺住民個人の審査請求、提訴を継続しているため、徒過には「正当な理由」がある(「正当な理由」があれば期間を徒過しても可)と主張しています。マンション管理組合は原告不適格とされた一方で、歴代代表者(理事長)は常に審査請求、提訴に名前を連ねています。組合のみなさんも、現実に裁判官の指摘する生命や健康、財産に被害を受ける可能性があるわけで、住民側が主張する「継続して意義を申し立てている」という「正当な理由」に当たるものと思われます。もともと「正当な理由」自体、明確な基準があるものではありません。本事件に異議を唱えている方々は当初から同一の人々で、審査会や裁判にも出席しており、徒過の「正当な理由」に当たるはずです。

  根本的な問題は、そもそも原告不適格や審査請求期間の徒過ではなく、渋谷区をはじめ他の行政区では危険と判断されている重層長屋で火災や地震が発生した場合、近隣住民と長屋の居住者に被害が発生してしまうか否かということです。したがって、“入り口”論に終始し実質的問題に関しては判断しないことは、「社会通念」上たいへん問題であると考えます。被害が発生する可能性は現時点でもあるわけで、裁判官が審査請求の期間が徒過したという理由だけで判断してしまうことは、非常に不合理かつ危険なことだと思います。消防署の専門家がさまざまなデータClick!をそろえて主張しているように、実際に被害が生じたときの責任はいったい誰がとるのでしょうか?

  都合4 回の裁判では、核心テーマである特例認定の是非に関して、一度も審議されていません。新宿区建築課や裁判官は、災害に関する専門家ではありません。裁判官は、形式論ではなくより実質的な部分で積極的に判断すべきだと考えます。

 

A新宿区(建築主事)2006(平成18)731日に行った建築確認処分と工作物確認処分の取り消し

 

●住民の主張

  特例認定をベースに、建築を許可する建築確認処分が出ています。住民側は、特例認定自体に問題があり、建築確認処分も違法であると主張しています。この地域の道は、狭小で安全な消防活動が困難であるため、新宿区の災害危険地域Click!に指定されています。新宿区が安全を確保するため、道と同等の安全性があると称している「安全空地」には、敷地ぎりぎりまで住戸建設(計画)がなされ、緑化率を稼ぐための樹木があり、消火活動や住民の避難にはまったく適さない状態です。さらに、このような状況を背景に新宿消防署は建築確認に際し、おそらく署始まって以来というべき意見書の中で、当該建設予定地へ消防自動車が向かう道路は一本道で、道路幅の最低は3.3mしかなく、消防困難な地域と言わざるを得ません」、きわめて異例のコメントClick!を新宿区に提出しています。しかし、この意見書は新宿区の執拗な圧力によって、消防署の法律的制約のため「建築確認の条件にはならない」との一文を、新宿消防署に入れさせている始末です。(消防法上、消防署は建築物のみにしか言及できず、周囲の敷地を含めた安全性に関しては意見を述べられない)

  さらに、2007(平成19)6月の新宿区建築審査会の裁決では、「消防同意したのだから、火災、消火活動、避難等に支障がないと判断できる」と、意見書の内容を無視しておきながら、厚顔にも逆手にとって特例認定の正当性の判断材料のひとつに用いています。住民側は計画の危険性に関して、消防庁の実際の事例や統計、理論などに基づいた詳細な意見を裁判所に提出しました。本来、防災のプロではない新宿区建築課は、消防活動に関する専門的な反論は困難であるはずであり、総合的に評価すれば火災の際の延焼や住民避難などの点において、非常に危険な建設計画であることは明らであると住民側は主張しています。

  また、長屋は西棟、南棟、東棟と分離し、見かけ上はエックスパンジョンでつながっているに過ぎず、住民側は一棟一建物の原則に反しているとも主張しています。さらに、南側の擁壁の安全性を確認しないまま建築確認をした(工作物確認処分)ことは、違法であるとしています。

 

●新宿区の主張

  重層長屋の計画には、各戸ごとダイレクトに戸外へ出られる戸口があり、また窓から安全空地へ逃げる2方向避難もでき、安全空地は公道と同等の安全性を備えているとしています。また、新宿区は工法上、安全を確保するために棟を分離し、エックスパンジョンでつなげることは通例の工法であり、用途上不可分であるので一体の建物と見なすと主張しています。さらに、工作物確認(南側崖)処分に関しては、近隣住民には被害が出ないので訴えることはできないとしています。

●裁判所の判断

  安全認定の訴えが、審査請求期間を徒過している不適法な訴えであるため、それを前提とした建築確認の訴え自体も不適法であるとし、それ以上の内容については触れられませんでした。南側擁壁の安全性を確認しないまま、建築確認をした(工作物確認処分)ことは、既存の調査で安全であると判断し問題はないとしています。また、一敷地一建物の課題については、裁判所はどのようなものが「一建築物」に当たるかという点に関し、建築基準法での規定がなく社会通念上、構造上、外観上、機能上一体であるので、その原則に反していないと判断しています。

 

●下落合みどりトラスト基金の見解

  新宿区建築審査会の2007(平成19)6月裁決では、「幅員2mから4mの避難のための空地が設けられている」という理由により特例認定は正しいとしていますが、新宿区の認めた安全空地には樹木が繁っており、避難路として実際には2m以下になっていたり斜面の部分も存在し、道路と同等の安全が確保されているとはとても言えないものです。また、周囲は崖地であり、たぬきの森自体が崖線上の孤立地ともいうべき状態で、そこへ通う唯一の4m避難路も、緊急車両の方向転換はおろか、すれ違いもできないありさまです。

  それに加え、避難路には明治時代の木造家屋が隣接するため、延焼によりこの道路を使って避難できない怖れもあります。建築計画では、100人あまりの住民が暮らす予定のようですが、火災時に逃げ遅れ、なおかつ緊急車両による救援がとどかないなど、きわめて危険な状況になる可能性があります。建築確認の際、この課題が議論されないこと自体がはなはだ不可解としか言いようがありません。住民側の主張どおり、消防同意Click!での当該建設予定地へ消防自動車が向かう道路は一本道で、道路幅の最低は3.3mしかなく、消防困難な地域と言わざるを得ません」をまともに解釈すれば、とても新宿区建築審査会が言うような「消防同意したのだから、火災、消火活動、避難等に支障がないと判断出来る」との解釈は、子供だましにももとる詭弁以外のなにものでもないことは明らかです。

  さらに、新宿区建築審査会は接道の長さが8.9mあるので緊急車両の進入は容易であるとしていますが、先述したように敷地へ入ってからすぐの道がわずか4mしかなければ、進入はできても緊急車両のすれ違いはできません。大型の消防自動車は、バックで30mの路地を逆戻りして、次に必要となる車両と入れ替わることになります。法律で規定されている幅員8mの道は、災害時の車両のすれ違いを前提としています。もしこの敷地が安全であれば、消防署から「意見書」など提出されるわけがなく、同署は建築確認処分はやむなく認めたものの、非常に危険性が高いと解釈するほうが自然だと思われます。

  新宿区建築審査会による安全性の採点は「100点」()とされているようですが、実際に人命へ危険が及ぶ可能性が大きい以上、内容的には「40点」以下の赤点(落第点)であることは間違いありません。このような危険きわまりない裁定のもと、安全であるとする特例認定への疑義について、審査請求期間が過ぎてしまったからという理由だけで、裁判官が建築確認の判断を行なわないのは由々しい問題だと思われます。みなさまは、どのようにお考えになるでしょう?

  崖の安全性の問題は、たとえ裁判課題の本質や大勢に影響はないにしても、その安全性を確認せず見込みで建築確認をしてしまうこと自体が、違法ではないとする裁判官の非常識な判断は理解できません。その後、調査で安全性が確認できなかったらどうなるのでしょう? 一敷地一建物の課題は、双方の意見が専門的かつ煩雑になりますので、説明は割愛させていただきます。ご参考までに、このテーマを扱った当該ページClick!をご覧ください。

 

B新宿区(建築審査会) 2007(平成19)611日に住民に対し行った建築確認と工作物の申請の適法性に関する裁決の取り消し

 

●住民側の主張

  反論の期限と決められた、2007(平成19)618日の1週間も前である、611日に新宿区建築審査会が裁決を下してしまったことは、違法であると主張しています。

 

●新宿区の主張

  新宿区建築審査会が意図的に行ったのではなく、期限を忘却()していただけで充分な議論はされており、それほど重要な問題ではないと主張している。

 

●裁判所の判断

  新宿区建築審査会の行った行為は「不適切な対応であったといわざるを得ない」としたものの、十分な議論がなされており(!?)、内容的には裁決を取り消されるべき違法なものではないと、全面的に新宿区側の主張どおりの解釈をしています。

 

●下落合みどりトラスト基金の見解

  先の@Aの裁判テーマについて、裁判官は“入り口”論を持ち出し再三にわたってその判断から逃避し(あるいは判断停止し)、実質的な人命に関わる部分の解釈はまったくなされませんでした。ところが、Bの本件は明らかに重大な違法行為であるにも関わらず、新宿区建築審査会には「不適切な対応」とするにとどめて免責し、“入り口”論ではなく踏み込んだ実質論で判決を下しています。まさに、行政の主張をそのまま代弁し、住民側に理のある主張にはいっさい耳を傾けない、愚劣な判決と言わざるを得ません。

 

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