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「義務づけ訴訟」の判決が921日に

 

2009(平成21)1217日の、最高裁による違法建築の判決Click!から、早くも2年半の歳月が経過しました。やがて7年にもなろうとする以前、新宿区建築課の隠蔽行為に端を発した一連の誤った「安全認定」「建築確認」によって、下落合の“たぬきの森”周辺の住民は、判決後の現在も事態がまったく改善されず、不安な日々を送っています。

最高裁の判決後、一向に違法建築を解体・撤去をしようとしない業者に対して、住民は新宿区に対し違法建築を早期に解体・撤去するよう、行政による「代執行」を求めていました。しかし、新宿区は半年以上も違法建築を放置したばかりか、その後も法的拘束力のない勧告を業者に続けるだけの施策しか行いませんでした。しかも、放火などの火災の際には周囲へ延焼がおよぶ危険性があると、最高裁判決で指摘されているにもかかわらず、新宿区は根拠も不明なまま「問題はない」との見解 Click!を示してきました。

違法建築の危険性を将来的に取り除く展望や、「代執行」の約束の提示もしてはくれず、新宿区側による十分な説明がないまま、常に危険にさらされていた地域住民は、最高裁判決から11ヶ月後の2010(平成22)1028日、ついに業を煮やして新宿区を提訴 Click!しました。この提訴は「義務づけ訴訟」というもので、判決後も違法建築を放置している業者に対し、十分な指導や執行を行わない新宿区へ、その義務を履行させるための訴訟です。

新宿区の見解としては、「住民が入居していなければ安全である」といった、非常に底の浅い単眼的なもので、万が一の放火などによる事件や他の火災による延焼、地震などによる強度が不十分な未完建築の倒壊、台風などによる強風被害、大雨による崖地の崩落など、他の危険性については“想定外”としてまったく考慮していません。そればかりか、判決後に自らの非を認めて行っていた住民説明さえ、何の連絡もなく突然中止 Click!してしまいました。

一方、義務づけ訴訟より以前、2010(平成22)92日に建築業者側は新宿区の建築確認で多大な被害を被ったとして、新宿区に対し26億円の損害賠償Click!を求める訴訟 Click!を起こしています。新宿区は「安全認定や建築確認は、建築主に建築を義務づけるものではなく、建築は建築主の責任と判断で進めるものだ」との見解を示し、現在も請求額26億円の妥当性をめぐって裁判で争われており、判決はいまだ出ていません。

また、新宿区(建築課)の責任のみがクローズアップされがちですが、「下落合みどりトラスト基金」の所感 Click!や『週刊東洋経済』の指摘 Click!にもあるように、たぬきの森の違法建築をめぐる一連の現象には、さまざまな意見や見方があるのも事実です。同時に進行している、この2つの裁判(住民側の「義務づけ訴訟」と業者側の「損害賠償請求訴訟」)は、訴訟主体による視座や論点はまったく異なるものの、相互間で少なからず影響があるものと思われます。

このような状況で、住民側の義務づけ訴訟に対する判決が921日、東京地裁で下されることになりました。いまだ新宿区と建築業者とで争われていの裁判の判決が下りない中、東京地裁によってどのような判断がなされるのかが注目されます。

■「義務づけ訴訟」判決スケジュール

日時2012(平成24)921() 午後125

場所:東京地方裁判所 522号法廷

 

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