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「下落合みどりトラスト基金」の活動概況(2004年〜2022)

2004(平成16)10月、下落合4丁目の通称「たぬきの森」へ建設業者が、明らかに違法と思われる「重層長屋」(実質マンション)の建築を計画。地域住民は、おとめ山公園から薬王院へと続くグリーンベルトを守るため、新宿区へ買い取りを請願します。しかし、新宿区建築課が独断で安全認定を行い当該敷地の価格が高騰、買い取りが困難となりました。

その後、地域住民は新宿区の購入支援策として「下落合みどりトラスト基金」を設立。一時は、全国から23,500万円の寄付が集まり、区の買い取り価格54,000万円と合わせて7億7,500万円に達します。その間、建設業者との交渉が継続しますが、業者は105,000万円からの減額交渉にはいっさい応じませんでした。(のちに購入価格は86,000万円で、2億円近くの利ザヤを稼ごうとしていたことが判明Click!しています)

一方、地域住民は新宿区建築課の安全認定に対し、新宿区の建築審査会へ審査請求をしますが却下されます。建築課の安全認定と、それにつづく建築確認に対し周辺住民は裁判所へ提訴しました。そして、2009(平成21)1217日付けの最高裁判決で、住民側の全面勝訴Click!が確定し、建設工事は完全にストップします。

その後、違法建築を放置し解体を進めない業者に対して、新宿区が指導および解体命令を出さないため、地域住民は新宿区に対し2010(平成22)10月、義務づけ訴訟Click!を起こしましたが敗訴Click!。建築業者の新宿区に対する損害賠償請求Click!も、2014(平成26)敗訴Click!となり、違法建築は放置され続けました。

新宿区は区長の交代もあったためか、たぬきの森買取の約束は履行せず、2016(平成28)に他の業者によって違法重層長屋は撤去Click!され、2020(令和2)に合法的な老人ホームが建築されました。みなさまからお預けいただいた基金は、みなさまのご希望により返金、または新宿区に寄付させていただきました。連絡先が不明な方など、返金ができなかった基金に関しては法務局に供託し、2020(令和2)をもちまして基金活動を終了Click!しています。残りました運営資金も、2022(令和4)中に寄付の予定をしております。

「下落合みどりトラスト基金」の活動は、たぬきの森の公園化という目的達成にはいたりませんでしたが、地域住民をはじめ数多くのみなさまのご協力により、重層長屋は違法建築として撤去されました。私たちの活動は、違法建築に対する地域住民の対処方法としてひとつのモデルとなり、裁判所の判例としても大きな注目を集めました。その結果、行政の曖昧な建築確認や業者の違法建築の乱立の抑止力となり、町づくりや環境保全の一助となっているのではないかと考えます。

ご協力をいただいたみなさまの思いは、今後も末永く生きつづけていくものと思われます。長い間ご支援をいただき、まことにありがとうございました。

 

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