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「第8回住民説明会」で業者が住民を再度罵倒

〜工事協定書を締結しないまま、425日の一方的着工宣言〜

 

 さる417()12ヶ月ぶりに建設業者による「第8回住民説明会」が開催されました。しかし、説明会が始まるやいなや「本音では、もうこんな説明会など開きたくない」などと発言し、いきなり425日の工事行程のみを説明、一方的な「着工の宣言」をしました。さらに、2005(平成17)830日の説明会で住民を罵倒した担当者Click!が、再び参加者へ暴言を吐くなどの一幕もあり、上場企業たる新日本建設株式会社の基本的なモラル欠如の露呈と、責任ある企業としての姿勢を根本的に問いたくなるような、呆れ返る「説明会」となりました。

 今回、説明会へ参加するにあたり、住民側のほとんどのみなさんは、建築確認が遅延する大きな理由ともなった課題について、当然、業者側からの説明を受けられると思っていました。すなわち、崖の安全性(崖崩落による南側住戸の危険性)、消防同意における新宿消防署のきわめて異例な意見書にある災害時の避難、消火、周囲への延焼の危険性の課題、さらに建築計画における周囲の安全空地の狭隘さや、不可解な「エキスパンションジョイント」Click!の課題など、この1年で生じたさまざまな問題点についての説明です。したがって、業者の一方的な「着工宣言」に、当然のことながら住民側から怒りの声が噴き出すことになりました。

 さらに、新日本建設からやって来た新任担当者へ、今までの経緯等を確認・問いただしたところ、まったく返答できないという情けない状況が判明しました。これには、参加者のみなさんは怒りを通り越し、ついには呆れ返ることになります。この新担当者は、現在進行中の新宿区における建築審査請求はおろか、東京地裁および高裁の判決内容や、今までの説明会議事録もまったく読んでは来なかったというお粗末さでした。その後は、説明会のやり取りの体をなさず、新日本建設の社会的なモラルの低さを「問う会」となってしまいました。

 かつての説明会で、新日本建設は譲渡額の金額を3,000万円も間違え、涙ながらに抗議する住民のみなさんや「下落合みどりトラスト基金」に対し、謙虚に謝罪Click!をしたことさえありました。少なくとも、まだなんとかまともだった当時の説明会の様子を、すっかり忘れてしまったようです。参加者からは、次々と質問があがりました。「こんな問題のある物件に、あなたみたいな何も知らない人間を責任者にするなんて、新日本建設は一部上場企業と言えるのか?」、「裁判や審査会の結果いかんでは取り壊しのリスクがあるのに、なぜいま建築するのか?」。また、建築設計が専門の参加者からは、「こんな脱法まがいの建物を設計して、あなた方はプロとして恥ずかしくないのですか?」という声までが飛び出しました。

 さらに、施行が予定(20084月〜)されている、「J-SOX(日本版企業改革法)的な観点からは、どう考えるのか?」という質問も出ました。質問内容を要約しますと、「日本版SOX法が施行されれば、企業は事業年度ごとに当該企業が属する企業集団、ならびに当該企業に関わる財務書類などの情報を、事業の適正性を確保するために提出しなければならず、その活動の透明性が必須となる。また、企業はコンプライアンス(法令遵守)のみでなく、その解釈において法の隙間を縫うような営利活動(脱法的行為)をすれば、市場からは受け入れられなくなる。日本版SOX法の趣旨からしても、企業活動に求められている社会的倫理が欠如している本計画は忌避されるべきものではないか?」というものでした。

 新日本建設の責任者は、従来の議事録を一読すらしていないため、このようなレベルの質問に答えられるはずもなく、ただ終始うつむいたままでいました。また当初、新日本建設へ“たぬきの森”を売却し、現在は販売担当であるはずの日本都市デザインシステムにいたっては、説明会へ参加すらしていませんでした。日本都市デザインシステムは、新日本建設の前任担当者から、「もし訴訟で新宿区が敗訴したら、新日本建設では新宿区と日本都市デザインシステムを提訴する考えがある」とまで言われている会社のはずです。

 「説明会」の後半では、建築工事におけるプライバシーなど具体的な課題もほんの少しは出ましたが、参加者には1年も前の「建築確認」提出用の設計図面Click!が配布されただけで、「建築確認」後の変更図面の配布はおろか、以前に配られた図面を持参するようにとのアナウンスもありませんでしたので、建物に関する具体的な議論がまったくできませんでした。

 また、あまりにもずさんな「説明会」に苛立った参加者が、工事協定も結ばないままの着工に疑問を投げかけると、「工事協定は義務ではない。話し合いは継続するが、425日着工は変わらない!」と一方的に言い放ちました。この言質を批判する参加者に、業者からお決まりの愚劣な暴言が飛び出したというわけです。さらに、地元選出の区議からは、「少なくとも再度説明会を開くまで着工すべきでなく、審査会の結果を待つべきだ」という業者への忠告もありました。

 最後に「下落合みどりトラスト基金」からは、区の予算と基金とを合わせ57,000万円の用意があり、たぬきの森の譲渡が決定すればさらに増える可能性もあることを伝え、改めて新宿区への譲渡を強く促しました。業者は、ゴールデンウィーク明けに再度説明会を開催することを確約し、説明会とも呼べない「説明会」は散会となりました。

 前回の説明会から1年以上が経過したにも関わらず、突然ともいえる「説明会」の告知が1週間前、ほとんどまともな話し合いや課題への回答もないまま罵声だけを発し、「説明会」のわずか1週間後には着工という呆れ返った業者の姿勢に、住民側の怒りはまさに頂点に達しています。

 

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