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業者による第6回「住民説明会」レポート

 

22()の午後7時より、業者による第6回の「住民説明会」が開かれました。前回と同様、屋敷森周辺の住民をはじめ、下落合界隈の屋敷森を是が非でも残したいとお考えの住民のみなさん、地元選出の区議会議員など数多くの参加がありました。

現場責任者と会社幹部との間で売却価格に3,000万円もの乖離。

住民側は公式謝罪を要求!

住民側が求めていた新日本建設()から役員の出席はなく、今井常務取締役による書面形式の返答がありました。従来、業者側は「下落合みどりトラスト基金」あるいは何度かの「住民説明会」において、新宿区へ売却する場合の価格は105,000万円であるとしてきました。「トラスト基金」は(新宿区も同様であることを祈りますが)、この105,000万円という金額を前提に、必死の活動や交渉をしてまいりました。

事実、従来の説明会においても、業者の現場責任者は「108,000万円という数字はどこから出て来たかわかりません。105,000万円です」と強調し、議事録にもはっきりと記されています。ところが、今回の「トラスト基金」や周辺住民のみなさんあての書面(下記)では、「108,000万円で売却させていただきたい」と明記されていました。

今井常務取締役の不可解な金額が記載された書面。

この「説明会」現場と経営陣との言動不一致について問いただすと、「私の記憶違いでした」とにわかに信じられないような、現場担当者の無責任かつ、いい加減な言質。業者にとっての3,000万円は“小額”なのかもしれませんが、全国のみなさまから「トラスト基金」あてにお寄せいただきました貴重な寄付は、お子さまの10円や50円といったなけなしのお小遣いまで含まれており、ここまでの金額にするためには、どれほどの人たちの自然とみどりに対する想いや、新宿区民の努力が結集されたのかを、業者はまったく理解することができないのでしょう。人間として誠実さのカケラもない、あまりに悲しい姿を見たような思いです。

説明会場では、涙ぐんで抗議する参加者や、当然ながら「土下座で謝れ!」との怒声もあがりました。これが、わたしたち「トラスト基金」が取り組んでいる、新日本建設()がゴリ押しする屋敷森「集合住宅」建設計画の実態であり、現在問題となっているまさに建築業界の本質です。108,000万円という数字も、住民や新宿区へ買い取りにくくしようとするためだけの、単なる思いつきの数字であり、現場担当者の言質も含めて口から出まかせの金額であることが明白となりました。こんなずさんでいい加減な売却金額の「設定」が現実に行われているとは、いったい新日本建設()とはどのような企業なのでしょうか?

場内の雰囲気の急変から、ようやくことの重大さに気づいた現場責任者は、謝罪の言葉を述べましたが、前回の説明会でも住民に対して脅迫ともとれる訴訟の話をチラつかせたあと、あわてて個人的な意見として謝罪するなど、責任ある立場の人間とも思えない軽薄かつ軽率な言動に、場内は怒りの声が飛び交う収拾のつかない状態となってしまいました。

最後に、「下落合みどりトラスト基金」の事務局長が、「トラスト基金」や署名や寄付をいただいている全国の方たちへ、正式に謝罪するよう強く要求をしました。以下、説明会の内容です。

■作業の進行説明

建築確認申請時の図面と工程表が配布され、説明がありました。これによると、旧・遠藤邸の解体業者が公園化のために残した歴史的価値のある土蔵を、213()より解体。つづいて屋敷森の伐採は222()、大クスノキの移植は316()というものでした。これらの作業日程は、もちろん屋敷森の所有者である業者が、いつでも遂行できる状態が1年も前からつづいており、住民のみなさんも彼らの当然の権利であると承知しています。

しかし、現在、周辺住民のみなさんが係争中である新宿区の安全認定や、建築確認が取り消される可能性も十分に残る中で、土蔵解体や屋敷森伐採は早計にすぎないか・・・というのが「トラスト基金」側の主張です。新宿区が敗訴したり建築確認が取り消された場合は、貴重なみどりや文化財が無駄に失われることにもなり、建築確認すら下りていない現状での着工は、あまりにリスクが高すぎます。一度、伐採されてしまったみどりは、二度と元にはもどりません。この点、「トラスト基金」は引きつづき業者と交渉してまいります。

 

■建築確認申請について

「建築確認申請にあたっては、十分な計画等、近隣住民に対し配慮に遺漏のないようにお願い致します」という区長からの要望書と、それに対する2社の業者代表取締役からの回答書があるにも関わらず、ほとんど説明がないまま建築確認申請を強行した経緯を釈明するよう、住民側から要求が出ました。建築計画による周辺への影響、安全面での対策、プライバシー保護、さらには以前の質問事項に対する回答が、相変わらずないままの状態です。

これに対して業者は、説明をし出したらキリがないし、主な部分の説明はすでに終わっているとの見解でした。「説明会」では、崖の安全面などに関して現地調査を、住民とともに行うなどわずかな前進もありましたが、この問題とて以前から業者へ重ねて説明を求めていたテーマのひとつにすぎません。「十分な説明はした」という、業者の姿勢との矛盾は明らかです。新宿区の意向にも反していますので、「トラスト基金」や周辺住民のみなさんは、新宿区長に対し公開質問状を準備しています。

 

■南面崖の課題

南面の安全空地は2mとあるものの、平坦な場所はおよそ1.5mほどしかなく、その先は崖であることは避難路にならないのではないか?・・・という質問が出ました。業者からは、新宿区建築課の許可が出ているとのことで、経緯の説明がありました。この区の指導に関して、区からの指導内容が住民側へ送付・明示されることとなりました。

また、崖下には住宅があり、大雨などによって大きな被害が出る可能性を、以前にここでも指摘Click!しましたが、安全性に関しては当該住民と業者が立ち会って確認作業をすることが決定し、説明会で公表する運びとなりました。

 

■協定書について

業者側が建築を開始するにあたり、周辺住民との間でなんらかの協定を結ぶべきとの意見と、協定書の存在は建築を認めたことにつながるとの意見が出るなど、この課題については結論が出ませんでした。協定書のテーマについては、今後の継続案件となりました。

 

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