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屋敷森伐採開始10月上旬か?

業者の罵声に説明会場全体が騒然。

 

 830日、新日本建設株式会社、株式会社ソフトアイによる第4回住民説明会が開催されました。出席者は平日の夜間にも関わらず、旧・遠藤邸の近隣住民やみどりに関心のある方々が、約60名ほど集まりました。「下落合」という地域性や、風土・環境などを尊重した計画の撤回、あるいは地元を尊重した設計の大幅な見直しを期待しましたが、新日本建設側は利潤追求と建前論に終始し、環境面や安全面への配慮はもちろん、企業としての社会的責任をまったく意識したものではありませんでした。

 

 しかも、通常このような説明会ではありえないはずですし、過去にも聞いたことがありませんが、あろうことか住民の発言に対し、業者側の責任者が大声で罵倒する一幕もあり、具体的な交渉もほとんど進展しませんでした。説明会は騒然とした雰囲気のまま終了しましたが、当然のことながら住民側全員は、強い反発と怒りを覚えました。

 

 ここで、改めて業者側の姿勢に強く公開抗議をいたします。出席した住民および区議会議員からの抗議・指摘で、最終的に業者側からの謝罪はあったものの、今後、自由な話し合いができなくなるような危惧が、すべて業者側の責任において生じています。

1.遺跡調査について

 ボーリング調査が終了したこと、新宿区教育委員会の指導のもと831日〜92日に遺跡調査が行われるとの報告がありました。実施機関は、〈株)大成エンジニアリングの埋蔵文化財調査部です。また、第2回および第3回説明会の議事録が提出されておらず、今回の説明会も含めて業者側から提出してもらうことになりました。

 

2.伐採計画は10月上旬

 今回、新たに設計図と工事日程が、業者側から資料として配布されました。それによると、北側の2本の巨木(ケヤキ)が残ることになっていますが、基本設計は近接ぎりぎりの規模のまま変更がなく、既存樹木も2本を除き、かねてから新宿区のみどりの専門家が貴重なものとして保存を勧めている、楠と金木犀、そして桜の大樹を含め、すべてを伐採するというものです。屋敷森のほぼ全伐採も含め、工事開始は10月上旬であることが提示されました。

 

3.審査請求の結果について

 当屋敷森へ住宅を建てる際、東京都安全条例の規定では8m道路が必要であるにもかかわらず、新宿区長が第4条第3項を援用し、特例として4mでも安全と認めた認定処分に抗議して、近隣住民が審査請求を行いました。しかし、審査会は「この認定には処分性がない」との理由で却下、防災や安全性の議論を避けてしまいました。この結果を受け、業者側は「安全上、支障がないと認められた」と解釈し、建設工事を始めようとしています。これに対し住民側は、「審査会で判断できなかった安全性の問題は、依然として未解決のままで残っている」と反論。議論は終始、平行線をたどりました。

 

4.防災と安全性について

 「下落合みどりトラスト基金」の約5,000(署名数)をはじめ、周辺住民がこれだけ反対しているにもかかわらず、なんら計画の撤回や変更、規模縮小などの姿勢が業者側に見られません。予定建造物は南側5m、東側に3m以上の崖、北側には鉄条網のある2m以上の塀に囲まれたもので、唯一残されたわずか4m幅の道が30m以上もつづき、さらに避難路の左右には木造住宅が接近していることを、改めて住民側が指摘。火災が発生した場合、100名以上の住民が逃げ道を失い、大惨事をまねく可能性があることも指摘しました。

 住民側の調査では、火災によってはしご車による消火が困難である点、近接住戸へ火がおよぶ可能性が高い点など、具体的な建築説明に入る前に、企業の社会的責任をどのように考えているのかを問いました。業者側は、当建築物は耐火構造で水利も完備しており、まったく心配しておらず、あとは行政が判断する課題だとの見解でした。さらに、住民より10戸程度に絞った、環境に配慮した高級物件に変更する対案も提示しましたが、業者側から計画の変更はあり得ないと一蹴されました。

 

5.新宿区「みどりの条例」について

 当建築計画は、新宿区が制定している「みどりの条例」に反するのではとの質問には、屋上緑化で対応するとの返答のみ。具体的な緑地の割合などは、業者からの解答がありませんでした。さらに、出席した区議会議員より、近年の行政の指導では芝生や小さな植物など、平面としてみどりを判断するのではなく、既存樹木を残すなど、より環境に配慮した3次元的な計画が好ましいと指摘がありました。

 今回の話し合いで、業者側は「下落合みどりトラスト基金」や周辺住民の声をすべて無視し、一貫して最大限の利潤追求のために緑地破壊を推し進める姿勢をまったく崩していません。換言すれば、新宿区の「みどりの条例」や下落合の地域性、環境・風土などへ配慮した計画など、まったく考えてないことが改めて判明しました。

 

6.保存・公園化について

 「下落合みどりトラスト基金」から、「トラスト基金」と新宿区の予算を合わせ、78000万円で区が買い上げる計画はあきらめていないとの申し入れをしました。しかし、業者側は売る意志は現在でもあるものの、105000万円からの大幅な減額は考えていないとの回答でした。

 

 冷静で対案まで用意して話し合おうとする住民側と、発言する住民へ激高して罵声をあびせる業者側の説明会など前代未聞です。このような「建設説明会」は、東京都内でも聞いたことがありません。それとも、新日本建設()の本社がある千葉市では、このような「説明会」がまかり通っているのでしょうか?

 

業者側責任者の住民に対する罵詈雑言が、この計画のすべてを象徴しているといえるのかもしれません。ここに、改めて業者側の猛省を求めます。

 

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