東京地裁の判決で再びスタートラインに 近隣住民のみなさんにより、新宿区を相手に起こされていた裁判(下記2件)の判決が、提訴から約1年を経過した9月8日(金)の午後1時15分、東京地裁708法廷にて言い渡されました。「下落合みどりトラスト基金」のメンバーも傍聴しましたので、ご報告します。 ●判決事件Click! 平成17年(行ウ)第386号 裁決取消請求事件(基本事件) 平成17年(行ウ)第435号 認定処分取消請求事件(併合事件) ●判決 原告の訴えを却下 ●双方の主張に対する地裁の判断 1.原告の適格性について
2.特例安全認定が周辺住民個々人におよぶ権利義務について
3.特例安全認定の処分性について
4.特例安全認定の周辺住民への火災などの影響について
5.特例安全認定の適法性
東京地裁の判決は、「マンション管理組合理事長は原告としては不適格」という判断をベースに、地裁への訴えを却下するというものですが、それ以外の具体的な裁判テーマについては、新宿区の主張がことごとく否定されるというものでした。 まず、原告の不適格については、マンション管理組合理事長は単に管理組合代表であり、「管理を任されているだけで、所有権を有せず、財産上の利害などが生じる原告にはなりえない」というものでした。建築予定の「重層長屋」(実質マンション)の安全性、みどりの重要性などの論争にはまったく踏み込まず、要するに門前払いのかたちです。 しかし判決では、単にマンション管理組合代表としての理事長では提訴することはできないが、管理者(個々人)の代表である理事長であれば、原告となりうると指摘しています。また、火災などで生命や財産に甚大な被害が及ぶ点を理由に挙げて、訴えの利益があると明言し、近隣住民が提訴することは可能だとの指摘がありました。 さらに、判決文では「特例認定は処分性がある」と判断しており、認定処分は国民の権利義務に関係があるから取り消し争訟の対象になる、すなわち抗告訴訟の対象になるということで、去年7月に新宿区建築審査会が「特例認定には処分性なし」Click!との理由で、審査請求を却下したことを完全に否定しています。 今回の判決では、住民側の訴えが結果的には却下されましたが(敗訴ではなく門前払いです)、半年以上かけて新宿区審査会が出した「特例認定には処分性なし」という結論が否定されたわけで、審査会の門前払いを不服とした裁判『平成17年(行ウ)第386号 裁決取消請求事件(基本事件)』に関しては、実質的には住民側の勝訴に近いものと言えるでしょう。 東京地裁の判決も、訴訟主体の是非を判断する入り口論で止まってしまいました。原告のマンション管理組合によれば、次の段階として「不服申し立て」の可能性があるとのことです。また、9月5日付けで新たに近隣住民のみなさん(マンション管理組合とは別の住民のみなさん)が、新宿区の「特例安全認定」と「建築確認」に対し、新宿区建築審査会へ改めて審査請求をしました。今回の東京地裁の判決により、建築審査会は事実上「門前払い」ができなくなったわけですから、審査請求に対しては実質的な内容の審理を行わなくてはならず、今回の裁判を経た審査会の結論が注目されます。 ▲移植されたオオクスノキとケヤキの現状 新宿区建築課が「特例安全認定」を独断で下ろしてしまってから、すでに20ヶ月が経過しまし た。今回の判決を踏まえますと、これでようやく再びスタートラインへもどった・・・ということになります。森の多くの樹木は残念ながら伐採され、たぬきの家族Click!はいまにも生活圏を追われようとしています。「下落合みどりトラスト基金」としましては、1日も早く問題が解決し、森の緑を回復させたうえでの公園化を望んでやみません。 |
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