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いよいよ418日の東京地裁の一審判決迫る

 

 “たぬきの森”をめぐる裁判の、東京地裁による一審判決がいよいよ418日(金)に迫りました。前回の裁判では、新宿区が主張する「特例安全認定の処分性なし」は否定Click!されたものの、隣接するマンション管理組合の提訴であっため原告不適格となりました。今回は、直接被害がおよぶ近隣住民のみなさんによる提訴ですので、本来のテーマである「違法建築」への審判が下るものと思われます。

 

 この裁判は、もともと新宿区建築課が、近隣住民と中山新宿区長との面談が予定されているのを知りながら、その当日の朝に区長へ伝えることなく、区長名で「重層長屋」建設の安全認定を出してしまったことに端を発しています。区長に認定を止められては、「業者との密約が守れないから、このような強引な認定をしたのだ」・・・と、周辺住民の激しい怒りをかいました。

 

 中山新宿区長が区議会で「遺憾の意」を表明し、54,000万円の“たぬきの森”買い取り予算を用意して、「下落合みどりトラスト基金」が一般の寄付では空前ともいうべき23,000万円の基金と合わせ、当初の売り値を上まわる77,000万円という金額が用意できたにも関わらず、新日本建設(株)Click!は値段を吊り上げて譲渡を受け入れようとはしませんでした。

 

 新宿区建築課による認定はきわめて異例ずくめで、災害時の安全性を確保するために本来なら幅8mなくてはならない進入路が、わずか半分の4mの「特例」で認定してしまうという奇怪なものでした。建設予定地は、たぬきの棲息する自然がよく保たれた目白崖線の斜面で、南東の2方向が崖で、北側は建設に反対する住民の高い塀、さらに西側へ30mつづく幅4mの進入路に沿って、明治時代の木造建築が近接するという極端な“旗ざお”立地です。

 

 本来8m幅がなければならない道路がわずか半分の4mとは、「規制緩和」を飛び越えたメチャクチャな「特例」認定で、同じ東京都安全条例により独自の緩和基準を定めている渋谷区のケースでさえ、認定を受けることができない完全な違法建築となります。「下落合みどりトラスト基金」が実施した、新宿区以外の都内区市へのアンケート調査Click!でも、「認定する」とした自治体の建築課は皆無でした。即座に「認定不可」とした自治体は半数にものぼり、新宿区の認定がいかに異常かが改めて浮き彫りになりました。また、安全性を高めるため「建設物、植栽不可」として、新宿区が自ら条例で定めた避難路や建物周囲の安全空地にも植栽があるなど、建設計画は呆れるばかりの違法性に満ちています。

 さらに新宿区は、たぬきの森の買い取り予算として54,000万円という金額を算定する土地評価の過程において、敷地への建設計画に「特例認可は困難」との理由から、現状の3分の1ほど規模で地価が計算されているにすぎません。つまり、建築課では「特例」認定をしておきながら、一方で部署が異なると「特例」認定さえ無理な敷地だから54,000万円の土地評価にしかならない・・・という、同じ新宿区がまったく正反対の判断を下していることになります。奇怪なダブルスタンダードのように見えますが、換言すれば、建築課による「特例」認定がいかに非常識なものかを象徴しているといえます。

 

 新宿区消防署では、署始まって以来ともいうべき異例の安全性に関する「意見書」を提出するなど、たぬきの森をめぐる「特例」認定の異常さばかりが際立っています。もし地裁の判決で、建築課による認定が違法ということになれば、当然「建築確認」も同時に取り消しとなりますので、建設計画どおりに進められている建設中の重層長屋(現在は基礎工事段階)も、おそらく解体・取り壊しとなります。そのような意味から、今回の判決は大きな注目を集めています。

 

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