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またも地裁で門前払い、住民側は上告か?

 

 418()に東京地裁で下りました判決について、判決書がとどきましたのでご報告いたします。判決書は70ページを超えるボリュームがあり、とりあえず判決内容の速報ということで、詳細はまた後日こちらでお知らせいたします。

 

 今回の地裁判決では、安全認定、建築確認、擁壁建築確認×2種の計4つのテーマに関する判決が出ています。結果は、安全認定に関しては、なんと「期限切れ」だとする“門前払い”で、残りの3つに関しては棄却という内容です。

 まず、判決内容以前の問題として、住民側(原告)の主張はおろか新宿区(被告側)の主張さえ判決文の中へ正確に取り入れられておらず、東京地裁の裁判官は原告・被告双方が提出した証拠資料を十分に認知・理解していない内容が、判決文中に多々見うけられます。また、住民側にとってもっとも重要かつ基本的なテーマとなる安全認定については、「1年で期限切れ」という信じがたい判断とともに、事実上の“門前払い”ということになりました。

 

 以前、新宿区建築審査会によって出された判断でも、安全認定は建築確認の一部をなす重要テーマなので、セットで提訴すべきであるという付帯コメントもあり、今回の東京地裁の判決は非常に不可解な内容となっています。詳細>>Click!

請求人は本件認定に係る建築計画が確定し、それに対する建築確認処分がなされた際に、当該建築確認処分が建築基準関係規定に違反し、そのことにより自らの法律上保護された利益ないし権利が侵害されると判断したとすれば、その段階において当夜建築確認処分に対し審査請求ないし抗告訴訟を提起することができるのであるから、請求人の権利保護に欠けることもないのである。

 

 安全認定に対する「1年の期限」というのは、おもに建物の建築後に年数が経過し、すでに居住者がいる場合などに適応される規定だと思われます。今回のケースは、建物がいまだ未建築であり、「1年の期限」は相応の理由が存在すれば本来は適応されないはずです。ましてや、住民側はここ数年、ルールにしたがい審査請求から裁判所提訴へと、間髪を入れずに関係機関への請求や訴えを行ってきており、その審議・活動期間が1年を超えてしまうのは、関係機関の審査・審議リードタイムも含めれば当然のことといえます。

 

 たとえば、新宿区建築審査会の事例では、通常3ヶ月以内に結果を出さなくてはならない審査請求に、倍の6ヶ月以上もの期間を要しています。その審査や審議期間の時間経過も含め、1年以上たってしまっているから安全認定は「期限切れ」で、地裁では「期限切れ」のものに対して判断できないというのは、これは詭弁を通り越した判断逃れ、単なる「現実逃避」あるいは裁判所の「判断停止」としか映りません。

 

 この門前払い判決は、一貫して建築の安全性と遵法性を問いつづけてきた住民のみなさんにしてみれば、裁判所がことさら“意地悪”をしている「住民いじめ」のように受け取れてしまう内容となっています。当然のことですが、原告の近隣住民のみなさんは納得してはおらず、近く東京高等裁判所へ改めて上告される準備を進めているようです。

 

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