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周辺住民の区長あて公開質問状3を入手

 

近隣住民のみなさんが、中山新宿区長あてに提出したオオクスノキの移植に対する公開質問状3を入手しました。提出されたのは512日ですので、ちょうど移植作業の始まった時期にあたります。新宿区では同内容の上申書を受けて、すぐさま業者に事情を聞きましたが、移植容認の姿勢は変えず、移植は終了してしまいました。

 

この申し入れのあとも、新宿区による監視がまったくなされなかったせいか、業者により引きつづきケヤキの大幅な剪定がされてしまったのは、たいへん残念なことです。公開質問状3では、違法性のある建築(建築確認ができない)のために、建築を前提とした移植を無理やり容認すべきないことを強調。また、当の建築計画の違法性にも深くメスを入れた内容となっています。

 

さらに、業者は崖下の住宅を守るように造られていた、土留擁壁をすでに解体してしまったことも明らかとなりました(写真下)。これから梅雨にかけ、降雨による崖下への土砂災害がたいへん危惧されています。

以下、公開質問状、上申書の全文です。なお、別紙2 は掲載しておりません。

 

公開質問状(その3)

 

近隣住民の多くは、特に安全や緑の問題を憂慮し、開発計画そのものに反対しており、安全認定処分の取消訴訟を東京地裁に行っています。さらに建築確認が下りればその取消のための審査請求や訴訟を提起しようとしています。業者との説明会では新宿区が認めたから建築するというだけなので、住民は、新宿区の行った行政処分に真っ向から法的争いを行なわざるを得ません。

本件につきましては、平成1859日付をもって別紙のとおり新宿区長殿に上申書が提出されているところであります。つきましては、本上申書において指摘した諸問題に対し新宿区長殿より明快なご回答をいただきたく、お願い申し上げます。

貴職の標榜する行政の透明性を確保するためにも、私どもに速やかに誠意あるご回答を頂戴いたしたく心からお願い申し上げるしだいであります。

 

第1 確認済証の不交付(本件建築物は工事不可能)

 

(1)新日本建設とソフトアイ(以下、建築主)は、18130日付新宿区建築主事(金子博)に対し、申請にかかる建築計画(以下、本件建築物)は法61項の建築基準関係規定に適合するものであることについて、確認の申請をした(法61項)。

 

(2)これに対し、建築主事は28日付本件建築物は、法6条5項の規定により、建築基準関係規定に適合するかどうか確認できない旨、建築主に文書で通知した(別紙1)。そして、建築主事は建築主に対し、法64項の法適合したことの確認済証を交付しなかった。

 

(3)従って、建築主は法65項により、本件建築物について、建築工事をすることはできない。仮にすれば、即、違法である。

 

(4)建築主事が本件建築物の法適合を確認できないとした理由は、@令2条 地盤面について、A令22条の2 地階の居室の技術的基準について、B令126条の6 代替進入口について、C安全条例5条 長屋の主要な出入口と敷地内通路について(別紙217頁)、D安全条例6条 がけについて(別紙2の19頁)、Eピット式機械駐車場について、Fその他、各その法適合性について、金子博建築主事は各疑義があるとしている(別紙1)。

 

(5)而して、建築主事は法64項の確認をする場合、消防署長の同意を得なければならないが(法93条)、金子博建築主事はその手続を全く執らず、文書で上記の疑義通知を発している。

 

(6)そして、建築主は建築基準関係規定に適合するものであることについて、主張立証責任がある(法61項)。従って、少なくとも、建築主事が文書で通知した上記@ないしFの各法適合性の各疑義について、建築主は建築主事に対し各法適合性を主張立証しない限り、本件建築物について、建築主事は法適合の確認済証を交付することはできない(法64項)。

 

(7)すなわち、建築主事の本件疑義通知は、実質上、本件建築物について法適合性を否認する不確認の通知と言うべきものである。ちなみに、裁判において、法適合性について主張立証責任を負担する要件について、裁判所(本件の場合、建築主事)に疑義があれば、当然、同負担者は敗訴判決を受ける。

 

(8)なお、建築主による新宿区紛争条例に基づく、221日、28日、314日の説明会において、28日付の建築主事の本件建築物の法適合性について疑義があり、法適合性を確認できないとする文書による疑義通知について、建築主(担当責任者)は秘匿している。かつ、新宿区長から後記第3F記載の建築主事に対する安6条の工作物確認申請をするよう行政指導を受けていることを秘匿している。そして、建築主(担当責任者)は、いかにも近々に、建築確認が得られるがごとく住民に説明し、あきらめを余儀なくさせるべくミスリードを図っている。建築主の非順法性と不誠実は問われなければならない。ちなみに紛争条例に基づく説明会は法適合性が確認される建築物について行われるものである。

別紙1

第2 安全条例5条は本件建築物の法適合性の要件

 

安全条例5条は次のとおり規定している(別紙2)。

「長屋の各戸の主要な出入口は、道路又は道路に通ずる幅員2m以上の敷地内の通路に面して設けなければならない。」

而して、金子博建築主事は本件建築物について、安5条要件の法適合性について疑義があると文書で通知している。

 

第3 安全条例6条は本件建築物の法適合性の要件

 

@安全条例6条は次のとおり規定している(別紙2)。「高さ2mを越えるがけの下端からの水平距離ががけ高の2倍以内のところに建築物を建築し、又は建築敷地を造成する場合は、高さ2mを越える擁壁を設けなければならない。」

 

Aかつ、上記擁壁は指定工作物として建築主事に対し確認申請が必要であり、建築主事による法適合確認済証の交付を受けなければならない(法88条令13815号・142条)。建築主事の同確認済証がなければ、建築主は同工作物(擁壁)の工事はできない。仮にすれば、即、違法である。

 

B而して、金子博建築主事は本件建築物について、安6条要件の法適合性について疑義があると文書で通知している。

 

Cなお、6条は「擁壁を設けなければならない」と規定するもので、建築主は建築主事に対し指定工作物(擁壁)申請し同工作物(擁壁)の工事を建築主事の確認とおり工事を完了させて、建築主事の工事完了検査をパスしなければならない(法7条の2)。

 

Dすなわち、本件建築物は建築主において安6条法律要件を充足することについて、その法適合性を主張立証しない限り、建築主事による法適合性の確認を受けることはできない(法64項)。

 

Eかつ、仮に、上記の2つの確認を受けても、建築主事が確認した安6条の工作物(擁壁)について、建築主事の工事完了検査をパスしなければ(法7条の2)、本件建築物は法適合性がない。

 

Fまた、安6条法適合性の権限は安5条とともに建築主事の権限であるところ、新宿区長は建築主事の8日付疑義通知に従い(別紙1)、公開質問状に対し、次のとおり、213日付住民に対し、公に回答している(別紙3/2月17Click!)。

2mを越える擁壁については、建築基準法及び東京都建築安全条例(6条)において、その安全性に関する規定があり、建築確認において当該規定を満たすものであるか審査します(別途、工作物申請を申請予定)」

 すなわち、新宿区長は建築主に対し、建築主事に対する上記安6条の工作物申請を行政指導しているものである。

 

Gそして、新宿区長は区議会で小野議員の質問に対し、「今後予定されている擁壁の工作物申請の中で審査し、検査も実施する」と答弁している。

 

H而して、建築主は建築主事の疑義通知(28日)と新宿区長の上記行政指導にもかかわらず、既に3か月余を経過させているが、現在まで、建築主は安6条の工作物(擁壁)確認申請すら建築主事に対して行っていない。従って、建築主事は同工作物(擁壁)の法適合性の確認は全くできない。

 

I従って、建築主事は本件建築物について、法適合性の確認済証の交付は全くできない。

 

Jなお、建築主は本件建築物と一体の擁壁を主張しているが、安6条の擁壁は建築物とは別の指定工作物であり、本件建築物とは別ものである(法88条令13815号・142条)。その決定権限者である建築主事(新宿区長)は、法6条の指定工作物の建築確認申請及び同法適合性の確認及び同検査を法律要件であると文書で通知(回答)しているものであり(別紙1ないし3参照)、建築主の上記主張は法律上問題にならない。

 

Kなお、がけ下の地権者は、本件建築物は建築基準法、安全条例、みどりの条例等に違反する違法な建築物であるから、建築主の工事に一切協力できないと文書で通知しているものであり、仮に、建築主事の2つの確認済証を得ても建築主による安6条法適合の工作物(擁壁)の築造は、法律上も実際上も困難である。

 

第4 本件建築物の法適合性(法61項・4項)

 

本件建築物は@政令2条・22条の2126条の6・駐車場条例について法適合性、A安43項(安全認定)の法適合性(これの違法性については裁判中)、B安5条の法適合性、及びC安6条の法適合性について、建築主は建築主事に対し、主張立証できない限り、本件建築物について、建築主事は法64項の確認済証を交付できない。

 従って、仮に、建築主事によって安6条の工作物(擁壁)の法適合性が確認されたとしても、それは少なくとも有効2m2.5mの空地(避難通路)を確保しなければならない。従って、境界からは最低3m程度の空地が確保されなければならない。さもなくば、今度は少なくとも安4条違反になり(新宿区長の安全認定の条件違反)、建築主事は本件建築物の法適合性を確認することは出来ない(法61項・4項)。

 ちなみに、建築主は安全空地(避難通路)は90cmもあればよいなどと説明会で公言している。建築主は区長の安全認定の条件を否認し、かつ安6条の技術基準に従った建築主事による確認を受けた工作物(擁壁)の設置を否認するものと言わなければならない。

 

第5 安全条例6条違反実行の重大な疑い

 

本件建築物の従前の敷地は、別紙4(鳥瞰図)のとおり、地盤面(令2条)の高低差は1m以上あった。

別紙4

 しかるところ、建築主(解体施行者成美興業)は安6条の工作物(擁壁)の確認を受けないで、別紙5(現場写真)のとおり、@従前敷地の安全施設(がけ下に土砂を流失させないための2段の土留擁壁)の解体とA建築敷地の造成(1mを越える地盤面の切り下げ工事)を実行した。

別紙5

 上記工事は安6条(建築敷地を造成する場合は擁壁を設けなければならない)に違反している重大な疑いがある。建築主事(区長)は速やかに、調査し、必要な措置を講ずべきものである。罰則の適用がある(安83条)。

 なお、本件建築物のための敷地の造成(安61項)は、都市計画法412項・29条の開発行為(土地の区画形成の変更)に該当する疑いがある。別紙4(鳥瞰図)及び別紙5(現場写真)を参照されたい。区長は速やかに、調査し、必要な措置を講ずべきである。

 

第6 みどりの条例違反

 

@みどりの条例25条は「建築行為等を行おうとするものは、区長の緑化計画書の認定を受けなければならない」と規定している。

 

Aすなわち、条例適用の建築行為等については、区長認定の緑化計画書の内容に違反して、保護樹木を伐採することは違法になる。

 

B而して、区長は171226日付緑化計画を認定し、18327日付変更緑化計画を認定した。

 

Cそして、建築主は上記認定に基づき、保護樹林について相当の伐採を実行した。

 

Dみどりの条例25条規定の建築行為等は、建築主事による法適合性の確認あることを当然の前提にしているものである。

 而して、第1記載の建築主事による本件疑義通知は、実質上、本件建築物について法適合性を否認する不確認の通知と言うべきものである。

 

E而して、本件建築物は前記のとおり、建築主事の法適合性の確認済証が交付されなかったものである。かつ、建築主事が法適合性について疑義があると文書で通知したものである。その上、建築主事の文書による同通知から3か月余を経過させて、建築主事と区長の行政指導にもかかわらず、建築主は安6条の工作物(擁壁)の建築確認申請すら行っていないものである。

 

F建築主の本件伐採は、今まだ法適合性の確認済が交付されない、かつ、建築主事による法適合性について疑義があると文書で通知された、かつ、建築主事と区長の行政指導を受けながら安6条の工作物(擁壁)の建築確認申請すら行っていない建築行為(従って本件建築物は建築主事の確認は受けられない)についての緑化計画書に基づく伐採であり、条例25条違反の重大な疑いがあるものである。

 建築主事が法適合性に疑義があると文書で通知し、かつ建築主事と新宿区長が行政指導する安6条の工作物(擁壁)の建築確認申請すら行っていない建築行為(従って本件建築物は建築主事の確認を受けられない)に対して、条例25条の合法性を上記行政指導をする同じ新宿区長が付与するものであり、区長の責任はまことに重大なものがある。

 

G新宿区民と新宿区の「宝物であるみどり」をかかる法適合性が建築主事の文書の通知によって疑義とされる建築行為等において、区長が早々と認定して伐採を容認し失わせることは、新宿区民と新宿区に取り返しのつかない損失を、自ら惹起させるもので、その法的かつ政治的責任はまことに重大と言わなければならない。

 

H区長の大英断を上申

強力なリーダーシップを発揮されて、せっかく5億4000万円もの公園化予算を確保されたのでありますから、区民の宝物となる公園化を実現し、新宿区の歴史に残る大英断を実行していただけないでしょうか。

 以上のとおり、上申いたします。

 

 

 

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