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公開質問状へ新宿区長が回答書

 

  先日、当サイトへも掲載しました新宿区長への公開質問状Click!ですが、中山新宿区長より回答をいただきましたので、以下に全文を掲載いたします。なお、公開質問状の内容を完結にし、区長の回答と併せて「下落合みどりトラスト基金」の所感とともに、改めて下段にまとめてみました。

 

みなさまは、新宿区の姿勢をどのようにお感じなりますか?

 

■新宿区長の回答書(全文)

 

「下落合屋敷森の開発に関する公開質問状」に対する回答

 

  平成1827日付けで提出されました「下落合屋敷森の開発に関する公開質問状」について、下記のとおり回答いたします。

回答1

  建築基準法第6条においては、法令で定める必要書類がそろっており、その計画が建築士法第3条から第3条の3までの規定に違反しないときは、建築確認申請の受理を拒むことはできません。

 

回答2

  (1)新宿区みどりの条例で義務付けた緑化計画書については、規則でその緑化基準を定めています。具体的には、接道部の緑化率のほか地上部及び建設物上の緑化面積の基準を定めており、これが認定の際の条件となっていますが、工法までを指定するものではありません。

  しかし、クスノキについては貴重であると考え、認定条件としてはなく移植方法について区と協議を行うよう業者に求めてきたものです。

 

  (2)現在、事業者がクスノキの移植に関して試行計画書作成中で、2月中旬に区と協議を行う予定です。区は試行計画書の内容を検討し、最善の方法で移植ができるように事業者と協議を行っていきたいと考えています。

 

  (3)当初、事業者は敷地内の既存樹木を全て伐採する計画でしたが、事業者と協議を重ねてきた結果、区の要望どおりクスノキ、ケヤキ、キンモクセイシアカシについては、敷地内に保全されることとなりました。

  現在、事業者は地域の方々のご要望も考慮して、上記以外で保全または敷地外に移植できる樹木はないか検討していると報告を受けています。

 

回答4

  2mを越える擁壁については、建築基準法及び東京都建築安全条例において、その安全性に関する規定があり、建築確認において当該規定を満たすものであるか審査をします。(別途、工作物申請を申請予定)

 

  3、問5、問6及び問7につきましては、現在裁判係争中であるため、回答を差し控えさせていただきます。

 

■回答文に対する「トラスト基金」所感

1

質問

なぜ、区長ご自身が業者へ、建築の説明を周辺住民に対して十分に行うよう指示を出されたのにもかかわらず、十分な業者が説明がない段階で、建築確認申請を受けてしまったのでしょうか?

回答

建築基準法第6条においては、法令で定める必要書類がそろっており、その計画が建築士法第3条から第3条の3までの規定に違反しないときは、建築確認申請の受理を拒むことはできません。

所感

法的に建築確認申請を拒むことはできなくても、業者に説明会の内容を確認し、十分な説明をするよう申し入れることは可能ではないでしょうか? 住民側は、確認申請をいともあっさり受理してしまった印象が強く、そのあたりについてお聞かせいただきたかったのです。

2

質問

クスノキの移植の可能性が不確定のうちに、なぜ緑化計画を認められてしまったのですか?

回答

(1)新宿区みどりの条例で義務付けた緑化計画書については、規則でその緑化基準を定めています。具体的には、接道部の緑化率のほか地上部及び建設物上の緑化面積の基準を定めており、これが認定の際の条件となっていますが、工法までを指定するものではありません。しかし、クスノキについては貴重であると考え、認定条件としてはなく移植方法について区と協議を行うよう業者に求めてきたものです。

(2)現在、事業者がクスノキの移植に関して試行計画書作成中で、2月中旬に区と協議を行う予定です。区は試行計画書の内容を検討し、最善の方法で移植ができるように事業者と協議を行っていきたいと考えています。

(3)当初、事業者は敷地内の既存樹木を全て伐採する計画でしたが、事業者と協議を重ねてきた結果、区の要望どおりクスノキ、ケヤキ、キンモクセイシアカシについては、敷地内に保全されることとなりました。現在、事業者は地域の方々のご要望も考慮して、上記以外で保全または敷地外に移植できる樹木はないか検討していると報告を受けています。

所感

緑化率の多くを占めるクスノキが枯れてしまっては、緑化を担保する「緑化計画書」自体が成り立たなくなってしまいます。慎重に判断すべき問題でなかったでしょうか?

4

質問

木々を伐採して大きな住宅を建てる計画ですが、南は崖がむき出しのままで大丈夫ですか?安全性を証明して欲しいのです。

回答

2mを越える擁壁については、建築基準法及び東京都建築安全条例において、その安全性に関する規定があり、建築確認において当該規定を満たすものであるか審査をします。(別途、工作物申請を申請予定)

所感

崖下の方々は、今回の建築計画に不安を感じています。しっかり現状を見きわめ、確実な計算をして審査いただきたいのです。擁壁が必要ということは、「周囲状況が安全」として特例安全認定したことに矛盾を感じます。崖に擁壁を造らざるを得ないのは、周囲が安全でないからではないでしょうか?

3

5

6

7

質問

(集約)

万が一、火災が発生してしまった時に、周辺はほんとうに安全ですか? 住民側に十分な理解を得られていない中での伐採容認は、大きな疑問が残ります。

回答

3、問5、問6及び問7につきましては、現在裁判係争中であるため、回答を差し控えさせていただきます。

所感

肝心の安全性に関する質問に未回答なのは、たいへん遺憾です。質問を差し上げたのは、現在裁判を行っている周辺住民の方や、その訴訟を支援する「下落合みどりトラスト基金」のメンバーばかりではなく、まったくこれに属さない住民の方々もいらっしゃいます。質問の主旨は、新宿区が認めた不可解な安全認定により、下落合の貴重なみどりが失われていくことに大いなる疑問を感じ、区民の安全(延焼などの危惧)や環境問題について、中山新宿区長へ改めて直接お訊ねしたもので、現在進行中の裁判のように、新宿区と争う性質のものではまったくありません。したがいまして、区長のお立場で、安心して暮らせる旨コメントをいただければ納得ができる性質のものです。

にもかかわらず、区長は係争中で回答できないとされたため、たいへん残念だという意見が数多く寄せられました。新宿区民は、区長ご自身の明確な言葉で、建築計画が遂行された場合の住環境の安全を保証していただきたいのです。わたしたち「トラスト基金」は、中山新宿区長のみどりや環境への関心の高さに共感を持ち、早々に公園化予算の確保をしていただき、業者への申し入れもしていただきました。わたしたちとも何度か面会下さり、できる範囲内でさまざまなご尽力をいただいているのは十分に感じています。しかしながら、新宿区建築課の担当者の犯した重大な錯誤が大きなネックになっており、新宿区長ご自身のご英断で、この誤りを是正していただきたいと願っているのです。

 

 

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