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公開質問状2へ中山新宿区長から回答書

 

  先日、周辺住民のみなさんが中山新宿区長あてに提出した公開質問状2Click!に対して、「下落合みどりトラスト基金」では区長からの回答書を入手しましたので、ここに公開します。スクロールの長いページとなってしまいますが、屋敷森をめぐる新宿区の姿勢や考えを知るうえでは重要な書類ですので、ご容赦ください。なお、回答書の下には、周辺住民のみなさんや「トラスト基金」メンバーが感じた疑義や感想などを、まとめて掲載しています。こちらも併せてご参照ください。

 

  専門用語が用いられて、わかりにくい箇所などもありますが、「トラスト基金」としましても一連の公開質問状と回答書のやり取りには注目しており、あえて公表いたします。今回の区長回答書に関するポイントとしては・・・、

  新宿区は、区民の安全を第一に考えるのであれば、仮に住民との間で係争中の案件であっても、自身の意見を開陳し誠意をもって区民を安心させるべきだ。

  今回、新宿区は初めて不動産鑑定に関し「専門でない」ことを認め、新宿区の依頼した専門家が「災害時の安全性を考慮すると、さほど大きな建物の延べ面積のアップはむずかしい」との具申をしたことも認めた。これは、新宿区が信頼する不動産鑑定は、特例認定は困難と判断したことになっていまう。

・・・の2点です。回答書をご覧になって、みなさまはどのようなな感想を持たれるでしょうか?

46日の伐採が進む屋敷森の様子。

同日の屋敷森から眺める富士山。

周辺住民のみなさんの所感

■問1.問2224

  今回も、肝心の安全認定に関する質問に対しては、裁判係争中を理由にまったく回答がなされていません。安全の問題は、周辺住民のもっとも心配するところであり、どうして区民へ回答することなく、業者への建築確認手続きだけを着々と進めてしまうのでしょうか?

  特に以下の点については、今の回建築確認申請に関して建築計画がさらに危険なものに変更されるのではないかと危惧している点であって、係争中である昨年の「安全認定」ののちに生じてきた、まったく新しい変更点です。

  @認定時、敷地東側2.5mの避難通路空地を条件としていたのに、緑化計画を認定したため、避難通路としてはかなりの部分が1.5mに満たない。(問22、問24関連)

  A認定時、敷地南側2mの避難通路空地を条件としていたのに、傾斜地で居住者が避難可能な平地は1.5mに満たない。(問32@関連)

  B2004(平成16)1222日付の認定通知書によれば、これら空地は、緊急時の避難経路の機能を明文化していたにもかかわらず、いつの間にかその条件がなくなってしまった。

  C新宿区の定義した安全空地が避難経路と考えなければ、特例の条件のひとつである各戸のバルコニーに避難梯子の設置が無意味となる。

  建築確認のために提出された正確な図面を業者から入手できませんので、区民はより不安を募らせています。新宿区当局は、正確な図面を業者に提出させているのですから、これらの疑問点に対し率直に答えるべきだと考えます。

■問2

  緑化率の算定については、緑の条例基準の脱法と映ります。たとえば、屋根つき駐輪所の上部も地上部緑化面積に算入するというのは、緑の条例の趣旨から解釈しても、また常識的に考えても不可解です。もっと素直に、条例の目的にそった緑化率を算定すべく、再度審査する必要があると思われます。

■問32

  「@については、隣地境界線と建物との距離は2m確保されており認定の条件には抵触しません」とありますが、すでに述べたように、あきらかにこの空地は避難経路とする条件が明記されていますから隣地境界線からの距離というのではなく、居住者が避難できる空地が2mという条件をつけたことに対して回答すべきではないでしょうか?

■問33

  新宿区は、「現地の状況を把握した上で、認定を行っています」と主張していますが、問3で具体的に指摘した疑問点について説明されないで、ただ現地の状況を把握したと言われても理解に苦しみます。安全認定は特例処分ですので、新宿区が安全上支障がない旨を具体的に立証し、説明する責任があるのではないでしょうか?

  32によれば、擁壁計画は工作物確認申請がなされていないそうですから、近隣の区民が心配しているような疑問点を、逐一建築確認の審査の中で、新宿区が慎重かつ詳細に検討を重ねるべきではないでしょうか? すでに伐採によると思われる、想定外の風害も報告されています。

■問4

  擁壁について、建築基準法関係規定に適合するかどうか審査するのは当然のことですが、擁壁計画が隣地地権者の権利を侵害しないで実行可能なのかどうか(隣地地権者は擁壁工事における業者の立入拒否を通告しています)も、あわせて慎重に判断すべきではないのでしょうか?

■問5

  いうまでもなく、不動産鑑定は「合理的かつ合法的な」最有効使用の正常価格を評価するものであり、“一物一価”のはずです。新宿区が用いている不動産鑑定評価書によれば、「建築安全条例43項の緩和規定が有効か否か個別の判断となるが、仮に3項が有効であったとしても災害時の安全性を考慮するとさほど大きな延べ面積のアップはむずかしい」として、個別事情も十分に勘案しています。

  回答書の最後に、「本件のように評価額が高額で、かつ高度に専門性を要求されるものについては、誤った評価により区に損害を与えることがないよう、専門家である不動産鑑定士に評価を依頼した」とありますが、新宿区自身が専門性を欠くことを自ら認め、判断を誤らないよう依頼した不動産鑑定士が「災害時の安全性を考慮するとさほど大きな延べ面積のアップはむずかしい」と特例認定を否定していることは、新宿区自らが特例認定を否定していることと同様だと考えられます。

  鑑定評価書は、本件敷地を住宅開発地として最有効活用するという前提(住宅図面も添付)でなされており、公園用地として評価はされていません。新宿区はこの意見に従ったかたちで、宅地開発を前提とした鑑定結果より、54,000万円という金額を導いています。したがって「鑑定は具体的計画内容まで立ち入って判定することはありません」というのは、完全に矛盾していることなります。法律上は、不動産鑑定書が前提としているような利用しかできないと考えるべきです。

 

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