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初めてサイトを訪れたみなさまへ

 

「下落合みどりトラスト基金」サイトを、このところ連日報道されています新聞やTV、ラジオ、検索サイトなどをご覧になって、初めて訪れたみなさまへ、これまでの経緯や現在の状況などをまとめてみました。ぜひ、ご参照ください。

 

マスコミの報道は、時間の制約や紙面に限りがあるため、どうしても細かなディテールが伝わりにくい側面があります。また、公に報道しやすいテーマと報道しにくいものとがありますので、改めてこの場でわかりやすくテーマ別・課題別に整理し、お伝えしたいと思います。

 

■どうすればたぬきの森が守れるのか?

現在もたぬきの森は健在です。本格的な伐採は、まだ開始されていません。

 

(1)業者の英断

確かに、業者は諸機関の認可に基づいた、形式的には「合法的」な開発をしています。しかし、町の姿を大きく変え(重層長屋というマンション様テラスハウス建設)、しかも元の屋敷森をほぼ全伐採して、町の住民たちの要望にもまったく耳を貸さず、つまり町民(新宿区民)と鋭く対立したまま開発を強行しようとしているところに、新宿に残された貴重な自然環境と町自体をともに「破壊」するという大きな問題が含まれています。

「トラスト基金」への寄付や署名は、全国規模におよび、海外からも支援が寄せられています。これだけ社会的な拡がりを見せている保存への動きですので、新日本建設株式会社へは一部上場企業としての社会貢献から、新宿区へ減額譲渡くれるよう申し入れています。しかし、金綱社長はもとより役員との面談も、いまだ許されていません。

現在、「トラスト基金」と新宿区が用意している77,500万円(当時)という額は、屋敷森の買い取り価格を下回っているとは思えません。業者のいう105,000万円という譲渡価格は、重層長屋建設後の販売による利潤も含まれた数字であり、たいへん不誠実なものだと考えます。新日本建設代表取締役社長の金綱一男氏の、社会的な責任感と英断に期待します。

 

(2)新宿区長の英断

現在の問題は、すべて新宿区の出した条例の特例による「安全認定」に起因しています。土地評価額はもはや変更できず、54,000万円以上の区からの支出は困難な状況です。もともと、建築課の判断で「安全認定」されたものですが、総括責任者としての中山弘子新宿区長の「安全認定」取り消しが、もっとも筋の通った解決法の近道です。

 

(3)「トラスト基金」の拡大と継続

現在、業者提示価格との差額はまだ3億円近くありますが、現在でも「トラスト基金」への寄付はつづいています。特に、先週からは署名や寄付、問い合わせが事務局へ毎日殺到しているような状況です。「トラスト基金」としましては、新宿区下落合にわずかに残された、目白崖線の貴重なグリーンベルト保存のために、公園化の希望が完全になくなるまで、このまま活動をつづけていきます。

 

(4)世論の力

このところ多くの方々に注目され、マスコミでも頻繁に取り上げられています。みなさまの声で、ぜひ新宿区や新日本建設へ向けて、“たぬきの森”保存を呼びかけていただきたいと思います。

■たぬきの森(屋敷森)の立地とグリーンベルトとは?

東京都庁からわずか4km、新宿区下落合に“たぬきの森”の屋敷森はあります。この付近は急坂や崖地が多く、みどりがよく保存され「開発」という名の破壊を免れていました。山手線のすぐ外側にあるおとめ山公園、たぬきの森(屋敷森)、野鳥の森公園、薬王院と、東西にグリーンベルトがつづき、新宿区でありながら、たぬきをはじめとする貴重な動植物が残され、いまだに湧き水もみられます。

たぬきは、西側の薬王院付近の森から屋敷森にかけて頻繁に目撃され、昨日(3/25)も毎日新聞に載ったたぬきの家族をはじめ、2家族が確認されています。他にも、下落合のそこかしこで目撃され、都心でありながら新宿区下落合では、たぬきを頂点とする古い武蔵野の生態系がそのまま残っていると考えられています。

つまり、下落合にいるたぬきたちは、他の土地から移動してきたのではなく、古くからこの土地に棲息していたものと考えられます。そのグリーンベルトの一画を形成する、屋敷森のみどりが破壊されるということは、たぬきをはじめとするかろうじて生き残ってきた武蔵野の動植物が絶滅してしまう危惧があると捉えています。

 

■問題の経緯は?

2004(平成16)に相続の経緯で、“たぬきの森”は競売に出されたようです。新宿区でも人気の高い住宅地であり、大手のマンション開発業者をはじめ10数社の業者が、マンション開発を念頭に買い取りの検討をしたようです。しかし、第一種住専の屋敷森には大型マンションの建設は無理ですので、当初はまったく売れませんでした。

当時、個人宅地として570/75000万円売りに出されていましたが、買い手はつきませんでした。このような美しい自然と、立地の優位性があるにもかかわらず、購入者が現れなかったのは、この敷地が「旗竿状」という特殊な形態であるからです。にもかかわらず、2004(平成16)11月に突然、森林のすべてを伐採し、敷地いっぱいの共同住宅計画が公表されました。

 

■安全特例認定(東京都安全条例第4条第3)とは?

“たぬきの森”は、明治期に建てられた木造住宅の横を、わずか4mの細い路地が30mほどつづき、周辺の道路から隔絶されています。だからこそ、たぬきなど原生動物たちの格好の棲家になっていたと考えられています。敷地は南と東が崖、北は鉄条網のある壁、東が木造住宅に囲まれているため、火災などの緊急時にはこの細い路地を通らなければ避難できません。

本来の条例どおりであれば、1,000m2までの建物しか建てられないはずです。(東京都安全条例第4条第1) しかし、新宿区が特例による「安全認定」をしたため、敷地いっぱいに3倍の3,000m2の建設が可能になったわけです。「トラスト基金」が行った、東京26区市へのアンケートでは、ほとんどの自治体がこのようなケースを「認めない」との結果Click!でした。

そもそも、東京都安全条例第4条第3項とは、土地の周囲に危険性などの問題がないとき、知事や区長が特例を用いて、文字通り特別に「安全だ」と認定するものです。たとえば、周囲に公園などがあり、容易に避難できるケースなどです。しかし、“たぬきの森”の敷地は、火災など緊急時における危険性がきわめて高く、東京26区市へのアンケート結果でも、「認めない」とされたのは当然のことです。

ある自治体の建築課は、「1,000m2以下の建築許可を1階級(2,000m2以下の建設許可)ならともかく、2階級(3,000m2以下の建設許可)への特進は不可能」という意見でした。この問題は周辺住民のみなさんが提訴し、現在、東京地裁で係争中ですが、いまの公判スピードでは森林の伐採には間に合いそうもありません。判決が出るまで、業者にはなんとか伐採を待ってほしいと、再三にわたって要請してきました。

 

■不透明な認定とは?

周辺住民のみなさんは、まだ特例による「安全認定」が出ていない2004(平成16)1222日の15時に、屋敷森の保存を求め中山新宿区長と陳情を含めた会合の約束をしていました。ところが、特例認定は同日の陳情直前、午前9時に建築課より出されています。ここで問題なのは、中山新宿区長が区民との約束を破り、先に特例認定を出してしまったということです。

実は、住民側が前日の1221日に認定の実務を預かる建築課係長に電話し、新宿区長への陳情の日時を伝えていました。しかし、翌日の朝一番に建築課独自の判断で、特例認定を区長が不知のまま出してしまいました。当然、午後に行われた陳情は後手となり、区長は資金面での問題から、屋敷森の買い取りは困難との見解を示しました。

のちに、住民側が建築課へ抗議をしたところ、「特例認定のことは聞かれなかったので、あなたたちには説明しなかった」・・・と、区民をばかにしているとしか思えない呆れた回答がありました。(録音が残っています) また、のちに行われた新宿区議会で、区議による一連の不可解な認定の質問に対し、「遺憾です」との区長の発言があり、建築課の区民や区長さえ無視した信じられないような事実を認めました。この特例認定で、現建築主の新日本建設株式会社に土地は売却され、屋敷森の開発はスタートすることになります。

 

■「下落合みどりトラスト基金」の設立は?

一度はあきらめかけた屋敷森の保存ですが、篤志家からの2億円の寄付をもとに、有志が「下落合みどりトラスト基金」を設立。当初は、屋敷森にあった旧・前田子爵邸の移築といわれる屋敷も含めた保存を訴求しました。「トラスト基金」の特徴は、寄付を公園化のみの目的で集め、公園化の希望が完全に消滅した際には全額返却するという、同様のテーマでは全国的にも例を見ない、新しいマニュフェスを打ち出したことです。

屋敷と屋敷森は、大学教授などをはじめとする多くの専門家から高い評価を受け、新宿区へ向けて数多くの保存要望書が提出されました。その結果、新宿区は54,000万円の買い取り予算を確保。「トラスト基金」の寄付額も23,300万円までに膨れ上がり、合計77,300万円の買い取り資金ができました。

住民からの23,300万円という寄付額も前代未聞ですが、財政難の新宿区が大きな予算を準備したことも異例中の異例とのことです。しかし、新日本建設は建築後の収益も含め、なんと108,000万円(現在は105,000万円)を提示。以降、業者と新宿区+「トラスト基金」との間で平行線がつづいています。

 

■現在の状況は?

業者は、新宿区へ「建築確認」申請(建築の許可願い)を行っており、まもなく認可が下りてしまう可能性があります。(安全認定がないと建築許可も下りません) 一方、周辺住民のみなさんが起こされている、安全認定をめぐる訴訟の判決は、4月中旬以降にずれ込んでいます。この先、最高裁まで訴訟がつづくこと、新たに下される建築確認に対しても訴訟が起こされることなどを考え合わせますと、最終の判決はまだかなり先になりそうです。

法律の素人が見ても、裁判は明らかに住民側へ有利に展開しています。屋敷森が伐られ、重層長屋ができあがったとしても、係争中の物件であり入居者が集まらないか、あるいは判決結果によっては建物が取り壊しになることも十分考えられます。せめて、地裁の判決が出るまで森林伐採を待ってほしいと、業者へは再三再四訴えていますが、業者は聞く耳を持たず伐採を強行しようとしています。

 

■業者(新日本建設)の姿勢は?

「新宿区の安全認定にもとづいた開発であり、不満は新宿区に言って欲しい」・・・という姿勢を、まったく崩していません。開発を1年以上も待ったこと、高木の一部は残し、樹齢200年のオオクスノキは移植するなど、新宿区の指導に従ったことから、裁判結果を待たずに伐採するとのことです。「住民や新宿区の考えは理解できるが、株式会社は株主に対し利潤を追求することが第一の責務であり、減額譲渡の意志はまったくない。もし、新宿区が負ければ新宿区を提訴する」・・・との見解です。

 

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