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「説明会」で31日解体開始を通告

 

  221()に業者による第7回「説明会」が、氷川神社の社務所集会室において開催されました。業者側は、「現存建物の解体開始は建築確認などの書類がそろわなくても開始する」・・・と住民側へ通告し、「解体工事協定」の問題なども含め、「説明会」は前回と同様Click!に紛糾しました。「下落合みどりトラスト基金」では、引きつづき屋敷森の現状保存を各方面へ請願するとともに、住民が納得できるかたちが整うまで、着工を延期するよう業者へ訴えてまいります。

■譲渡金額の錯誤についての謝罪と釈明

  前回の説明会において、業者役員から提示された額(108,000万円)と、現場担当である計画責任者の提示額(105,000万円)との間で、3,000万円もの開きがあった問題では、計画責任者より正式に謝罪と釈明がありました。

  それによれば、「企業努力」で105,000万円に減額していたとのことですが、この数字はなぜか業者側の取締役も知らず、ましてや新宿区長にも知られていない金額です。すると、現場の責任者が個人的に、勝手に設定していた“値引き価格”なのでしょうか? そうだとすれば、新日本建設()では役員会にも相談・報告せず、現場決済で数千万のおカネを自由に上下させられるような、しごくいい加減な企業なのでしょうか?

  過去の説明会で、計画責任者は108,000万円という数字はどこから出てきたか分かりません。105,000万円です」という説明をしてきました。議事録にも、また住民側の録画にも残っています。あえて言わせていただくなら、108,000万円という数字はどこから出たのでもなく、新日本建設の経営層が認識している数字です。経営層と現場責任者との間で、譲渡金額をめぐる深刻な乖離があったことは明白です。周辺住民の怒りはもちろん、みなさまから1円、10円単位の寄付をお寄せいただいている「下落合みどりトラスト基金」としましても、3,000万円もの錯誤を「記憶違い」のひと言で扱われたことに、激しい憤りを感じます。業者はその場で、105,000万円に減額した旨を、新宿区へすみやかに通告すると約束しました。

 

■上辺ではなく真の安全性についての疑問

  東京都建築安全条例の特例による認定であったにせよ、本計画の「重層長屋」は実質マンション様の建築です。火災時の避難をはじめ、緊急車両による消火活動、近隣への延焼などの大きな課題があり、「(長屋を)購入する一般の人は心配になるのでは?」・・・という質問が出ました。

  業者側は、「都内にはさらに危険な物件も多く、本計画はむしろ安全だ」という回答で、この課題は平行線のまま終始しました。安全性を、都内にある他の「危険な物件」との“相対論”で説明する業者の意識が不可解です。建物の安全は、「あそこよりも、うちのほうがマシ」というようなテーマではなく、常識かつあたりまえの発想ですが、常にその現場における絶対的な安全性を、個々の現場に則して追求してしかるべきテーマだと考えます。

 

■南側の崖をめぐる問題

  南側に迫る崖の安全性に関しては、当初から課題が提起されてきました。南斜面の西側部分は「安全上問題あり」として、新宿区の指導をもとに擁壁を造る計画が公表されました。住民側から、擁壁設置が決まった南斜面の西側ではなく、反対の東側斜面の写真が提示され、同部分に関しても擁壁の必要性があるのでは?・・・という質問が出ました。しかし、業者側は即答を避け、検討課題として次回への持ち越しとなりました。

  崖の安全性に関しては、雨が降った際の土圧による崖の崩落がもっとも懸念されるテーマです。原生林が密生している現状では、樹木の根が自然に崩落を防いでくれている要素が強いですが、フィリピンの山崩落災害に見られるように、森林を伐採したとたん、少量の降雨でも大規模な土砂崩れを起こす危険性が指摘されています。屋敷森の南斜面の場合、安全な環境を確保するためには2m以上の擁壁の工事認定が必要です。ただし、擁壁の築造工事を行うためには、崖下に家のある住民の協力が不可欠で、もし協力が得られなかった場合には、そのまま計画が暗礁に乗り上げる可能性もあります。

  住民側からは、「これらの安全性に関する問題がクリアされてから、伐採を開始して欲しい」との要望が出ましたが、業者側は崖問題をめぐる交渉が滞った場合でも、森林伐採は強行し建築は進めるとの方針を示しました。安全の問題を置き去りにして、建築工事を強行する業者の姿勢が、住民側にはどうしても理解できません。

 

■着工にともなう「解体工事協約」について

  31日に着工するとの前提で、業者から工事車両進入、騒音・粉塵などの環境問題、安全、破損保証などについて、住民側へ「解体工事協約案」が提示されました。当初は、屋敷森周辺や工事車両が行き交う沿道の住宅へ、221日に「解体工事協約案」のポスティングが行われ、227日より着工という計画だったようですが、「協約」内容の検討時間があまりにも短いことから、住民側から解体業者へ改めて説明会を要求し、それが実現の運びとなりました。

 ●日時228() 19時〜

 ●場所:氷川神社社務所 集会室

 ●課題:「解体工事協約案」に関する解体業者による説明会

  着工はまたしても延期されたものの、上記の解体業者による「説明会」の翌日、31()より工事開始との通告がありました。このまま推移しますと、土蔵や屋敷の基礎解体に引きつづき、屋敷森はほとんどすべてが伐採されてしまうことになります。残されるのは、移植や保存が決定しているほんの数本の樹木にすぎません。あのみごとに咲き誇る樹齢数百年のサクラも、開花直前に伐採される予定です。

  「トラスト基金」では、周辺住民のみなさんが東京地裁に起こされている訴訟の一審判決まで、なんとか伐採を待ってもらうよう、引きつづき業者へ働きかけてまいります。

 

 

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