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仙台市の共同住宅でも「建築確認」取消し

 

 「下落合みどりトラスト基金」では、屋敷森へ重層長屋(実質的には低層マンション)を建設する計画は、避難路となる接道が4メートル前後と狭隘で、しかも一方向のみしか存在せず、また前面道路など周辺道路の幅員も条例に適合していないなど、防災上たいへん危険であると指摘Click!しつづけてきました。周辺住民のみなさんが起こされた訴訟でも、この防災上の観点が大きなテーマとなっています。

 

 昨年12月に、下落合の屋敷森敷地の計画とたいへんよく似た仙台市のケースが報道され、十分な避難路が確保されておらず、防災上危険な違法建築であると、共同住宅の「建築確認」の取り消しが行われたことが明らかになりました。下に掲載した図版が、仙台市青葉区に建設される予定だった共同住宅の敷地図面です。道路から細い路地が建設予定の敷地まで伸び、下落合の屋敷森のケースと酷似しているのがおわかりかと思います。

仙台市で「建築確認」が取り消された共同住宅の敷地

 仙台の共同住宅は、個人住宅を兼ねた鉄筋コンクリート3階建ての低層状のもので、建物の仕様も下落合ケースとよく似ています。宮城県の建築基準条例第8条では、共同住宅を建てる場合、接道部分つまり道路に接する部分が4m必要なことが定められています。ところが、現実には細い路地の接道幅は2.72mしかなく、とても条例の要件を満たしているとはいえません。ただし例外として、建物の面積が200m2以内で、一定以上の割り合いで接道していれば、4m未満でも認可することがある(7)・・・という条項がありました。

 

 自宅部分も含めると、200m2を超える面積の共同住宅であるにもかかわらず、建て主は新宿区における“特例”ともいえるこの条項を意図的に誤解釈して、違法な建物を建てようとしていました。「建築確認」を行ったのは、偽造された構造計算書をそのまま素通ししていた日本ERIです。仙台市では、明らかに違法だと設計段階から認識し、設計変更を建て主に求めている最中に、日本ERIが「建築確認」をさっさと下ろしてしまいました。

 

仙台市ではさっそく「建築確認」を取り消し、建て主には早々に設計変更を要求しています。日本ERIから「建築確認」が下りるとともに、すでに工事は進行しており、現在は建物の基礎工事が中断したままの状態がつづいているようです。

下落合の屋敷森の敷地

 この物件は、耐震データ偽造事件で名前の出ていた日本ERIが、「建築確認」を担当していたためにより注目され、その違法性が強くクローズアップされることになりました。でも、もし役所のチェックが正常に機能せずに、きわめて危険な違法建築がそのままフリーパスで建てられてしまっていたとしたら・・・、そう想像しますと背筋が冷える思いがします。

 

新宿区が、そんな異常なフリーパス環境を作っているとは思いたくないですが、少なくとも仙台市の常識的な判断力、あたりまえの問題意識ぐらいは持ち合わせていることを、切に願うばかりです。

 

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