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下落合の動物たち<ホンドタヌキ>

 

いまさらながらですが、今回は下落合に住む通称「たぬき」と呼ばれているホンドタヌキについて詳しくご紹介します。イヌ科に属するホンドタヌキは、体長5060cm(大きい個体になると70cmを超えるものもいるとか)、体重510kgで、身体はずんぐりとして脚が短く、尻尾が太いのが特徴です。

 

本州・四国・九州に住むたぬきはホンドタヌキですが、北海道に住むたぬきはエゾタヌキと呼ばれ、ホンドタヌキよりも体毛がやや長く、脚も少し長めです。日本のほかに、ホンドタヌキは朝鮮半島や中国にも棲息していますが、1928(昭和3)に旧ソ連(ロシア)が毛皮をとる目的で輸入したのが野生化し、いまではロシア、ポーランド、フィンランド、ドイツなどにも棲んでいます。中国からの帰化動物ハクビシンと同様に、たぬきも環境適応能力が高いらしく、そのうち地つづきのヨーロッパ全土に拡がるのかもしれません。

ホンドタヌキは、おもに夜間活動する夜行性で、一度つがい(夫婦)になると、どちらかが死ぬまで一夫一婦制を通す動物です。イヌと同じようになんでも食べる雑食性で、ネズミやカエル、鳥、魚、昆虫などの小動物のほか、柿や枇杷、銀杏などの果実なども食べます。また、町に棲むたぬきは、エサが少ない冬場などは家々から出たゴミや残飯なども食べます。冬になると、下落合のコンビニ近くで目撃される確率が高まるのは、廃棄されるお弁当をちゃっかりいただいてるせいですね。

 

ホンドタヌキは、50ヘクタールほどの行動範囲があるといわれていますが、特に強いテリトリー(なわばり)意識というのは持っていないようです。同じ地域に複数の個体がいても、特にけんかをして追い出すという行為は見られません。たぬきには、複数の個体が特定の場所に糞(ふん)をする「ため糞」という習性があります。先の「親子で楽しむたぬきフォーラム」で、動物ジャーナリストの宮本拓海様が話されていた点です。たぬき1匹の行動範囲には、約10箇所の「ため糞」場があるといわれ、1日にそのうちの23箇所を使うようです。大きな「ため糞」場には、直径50cm/高さ20cmもの糞が積もっていて、その臭いで近隣に棲む仲間との情報交換をしているといわれます。

たぬきは冬眠しませんが、秋になると冬場に備えて脂肪を蓄え、体重を夏場の1.5倍にも増やします。コロコロしたたぬきのイメージは、秋から冬、春にかけてのもので、夏毛のたぬきは意外にスマートです。また、「たぬき寝入り」という言葉がありますが、たぬきは実際に「たぬき寝入り」をします。敵に襲われて絶体絶命になったとき、死んだふり(擬死)をして、相手が油断した隙をついて逃げ出すそうです。たぬきを救出Click!した際、「たぬき寝入り」をしなかったのは、町中のたぬきは人間に馴れていて、絶体絶命の危機にまで感じなかったせいなのかもしれません。

 

■イラスト:「大図典View(講談社/1984)

 

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