東京湾のグリーンベルト葛西臨海公園の危機 7年後に開催が予定されている東京オリンピック2020で、東京湾沿いの臨海地域にグリーンベルトを形成している葛西臨海公園の3分の1をつぶして、オリンピックのカヌー競技場を建設しようとする計画が浮上しています。日本野鳥の会Click!では、オリンピックの東京開催が決定する以前から、この予定計画に異議を唱えつづけてきました。同会が推進する、東京湾の緑地保全を求める活動Webサイト「環境保全と両立するオリンピックの開催を求めて」Click!から、少し長いですが引用してみましょう。
日本野鳥の会は、オオタカをはじめとする鳥類や昆虫類、そしてそれらの動物が棲息するのに適した生態系をささえる自然環境を破壊しないよう、東京都に対して訴えています。これは、同会の視座からこの問題をとらえたアピールであり、また同公園の周辺に暮らす多くのみなさんの意向でもあるのでしょうが、もうひとつ、ここには大きなテーマが付随していると思います。それは、都市におけるヒートアイランド現象、すなわち夏季における都市の気温上昇に歯止めをかけるというテーマです。東京湾岸沿いに森の濃いグリーンベルトが形成されれば、どれだけ市街地の気温が下がるかは不明ですが、少なくとも南風が市街地へと吹きこむ夏季には、多少の効果があるのではないかと想定できます。 たとえば、新宿区における夏季のケースをみますと、区内で比較的みどりが多い落合地域と、新宿駅周辺のオフィス街あるいは商業地とでは、明らかに2〜3℃の気温差があります。熱中症により、全国で1万人以上が病院へ搬送されるというような異常事態を見るにつけ、都市部において気温を低下させるもっとも有効な手段としての樹木の育成と森林の確保は、気温上昇を抑える意味からも都市計画では優先されるべき課題のひとつだと思われます。葛西臨海公園の3分の1が消滅することにより、周辺地域ひいては南風が吹きこむ東京市街地にどれほどの影響があるのかは不明ですが、現状の競技場計画はヒートアイランド現象の抑制へ向けた施策とは、まったく正反対の姿勢といわざるをえません。 「下落合みどりトラスト基金」では、新宿区をはじめ目白崖線沿いに残るみどりが、その周辺の市街地を含めて夏季の気温上昇に歯止めをかけているのと同様に、東京の森林やグリーンベルトを少しでも保全あるいは回復させることが、年とともに深刻さを増すヒートアイランド現象に対するもっとも有効な施策であると考えます。もちろん、そこに形成された生態系を基盤に棲息している、動植物が貴重であることはいうまでもありません。 日本野鳥の会では、東京湾岸の緑地を守り葛西臨海公園のみどりを破壊しないよう、「環境保全と両立するオリンピックの開催
のため、葛西臨海公園のカヌー競技会場計画の見直しを!」の署名運動Click!を展開しています。同会の趣旨に賛同される方は、ぜひ署名に参加していただければ幸いです。 ■写真/イラスト図版:「日本野鳥の会」の「環境保全と両立するオリンピックの開催を求めて」Webサイトより。 |
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