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“たぬきの森”周辺住民が最高裁へ上告

 

327日の東京高等裁判所における住民側敗訴の判決を受け、“たぬきの森”周辺住民のみなさんは48日付けで、最高裁判所へ上告しました。

◆住民側の主張の要旨

本建築物が、火災・地震その他の災害時や放火の際、本建築物の倒壊、炎上などにより、直接的な被害が予測され、「周辺に重大な損害」の恐れがあり、新宿区は違法建築に対し、除去命令をする義務がある。

 

◆新宿の主張の要旨

最高裁での違法建築確定の判決は完成時のものであり、現時点(80%完成)での判決ではない。そのため、「周辺に重大な損害」が起きると判断できず、除去命令をする必要はない。

 

◆高裁の判決の要旨

義務づけの訴えとは、救済の必要性がきわめて高い場合に限り認める、「重大な損害を生ずるおそれ」があるとは、認めるに足らない。前判決とは異なる事由についての判断を求められているというべきであり、控訴人らの主張は採用できない。

 

◆下落合みどりトラスト基金の所感

新宿区や裁判所の判決の通り、完成時と現在とでは危険度は異なります。しかし、古い木造建築が隣接していることや延焼運命共同体の考えClick!など、現在でも「重大な損害を生ずるおそれ」や危険性を、完全に排除することができません。また、違法建築と確定された理由は、法律で規定される約3倍もの違法建築物(前代未聞の事態)を、新宿区が安易に認定してしまったことにあり、仮に現時点では重大な危険性がすぐに生じなくても、本来は除去されるべき建築物Click!です。

さらに、完成して住民の入居後に判決が確定しても、解体・除去は事実上不可能なため、もし高裁の判決が3ヶ月遅れていれば、違法建築は周辺住民のみならず入居住民とともに、非常に危険な状態のまま建ちつづけることになったでしょう。すなわち、違法な建物の建設を停止させるには、まさにギリギリのタイミングで、東京高裁は判決を下したものと思われます。

このような過去の経緯や状況、諸事情を踏まえるならば、いますぐに「重大な損害を生ずるおそれ」がきわめて高いと考えられなくても、違法建築物の存在そのものに少しでも危険性があれば、近隣住民を守るために新宿区が違法建築除去の命令を下すのは、前裁判における最高裁判決の主旨や社会通念と照らし合わせても、きわめて常識的かつ正当な施策だと考えます。

もし、新宿区が除去命令を下さなければ、この先、数十年間も違法建築の残骸を放置することになりかねず、危険性はさらに高まりこそすれ低くなることなどありえないでしょう。はたして、このまま無人で建築途中の廃屋が老朽化した場合、さらに危険性が高まらないと、いったい誰が断言できるのでしょうか? 今回の高裁判決は、違法建築を永遠に放置することの悪しき前例にもなりかねません。最高裁では状況を十分に吟味し、安心・安全な住環境について熟慮した判決に期待したいと思います。

新日本建設と新宿区の地裁判決は未確定ですが、進展があればこちらでご報告いたします。

 

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