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建築基準法第9条による違反建築物に対する措置

 

  昨年1217日の最高裁判決の結果、建設中の「重層長屋」は明確に違法建築と規定されました。最高裁は、住民の訴えが「徒過」(時間が経過)していても、違法な「安全認定」(特例認定)にもとづく「建築確認」であれば、違法性は十分に問えるClick!との判断を示しました。また、同時に建物の安全性の面からは、高裁が示したClick!判決を踏襲しており、火災による周囲への延焼の危険性が増大するとしています。換言すれば、違法とされたこの「重層長屋」で万が一放火などによる火災が発生すれば、工事中断の現状においてさえ消火活動の遅れより、近隣住民の生命や財産が脅かされることを司法が認定していることになります。

  一方、新宿区は建築基準法第9にもとづき、業者へ本建築物=「重層長屋」の除却をはじめとする、なんらかの措置をすみやかに命じなくてはならない義務が生じています。今回の裁判で原告団を形成した近隣住民のみなさんから、業者が改めて必要となる土地を購入し、「合法建築」へ向けて4m道路を8mにすることなど、現実的にはまったく困難であり(「説明会」で住民の意向にまったく聞く耳を持たず、恫喝を繰り返した挙句の果てですので)、業者はすみやかな「重層長屋」の取り壊しを命ぜられる可能性が大きいと思われます。

  区民の生命や安全を守る義務はもちろん、行政における遵法姿勢がなによりも優先されるべき新宿区が、5年以上にわたり建設業者側の視座に立脚して(業者と結託してと映ります)住民を苦しめ、生命の危険性をともなう業者の違法行為を一貫して容認しつづけた罪は大きく、もうこれ以上、区民に対して背信行為を繰り返すことは決して許されることではありません。最高裁でこのような判決が出ることは、高裁判決が出た1年前から、すでに予測はついていたはずです。悠長に区の新年会など開いている場合ではなく、再び同じ過ち(犯罪行為ですよ、認識してますか?)を繰り返さないためにも、早急な対応をすべきだと考えます。

建築基準法第9

特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

 

 

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