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高裁判決に対する新宿区議会議員の反応

 

 新宿区の最高裁への上告期限(128)が、明日に迫っています。区が上告した場合、新宿区全体にさらなる負担がかかる可能性が考えられます。そこで、「下落合みどりトラスト基金」では、今回の高裁判決を地元の区議会議員の方々がどのように受けとめ、どのような感想やお考えをお持ちなのかをアンケート形式で調査してみました。

 アンケート対象の議員の方々は、従来より下落合のグリーンベルトや環境問題には高い関心を寄せられていました。ご協力を心から感謝申し上げます。

−質問−

 1. 先生方の自己紹介および環境保全に関するアピールポイント

 2. 今回の高裁の建築確認取り消しに関する先生方の見解および私見

 3. 今後の下落合自然環境に関する先生方のビジョン

■新宿区議会議員のご回答(50音順)

有馬としろう議員(公明党)

 都市部における貴重な、みどりの保護や維持をしていくことは、大切なことであると認識をしています。今回の東京高裁の判決については、今後の区の対応や考えを充分に見極め、区政に活かせるよう努力して参ります。

小野きみ子議員(民主党)

1. 私は下落合4丁目、旧E邸たぬきの森の隣家で生まれ育ち、現在も住民票をここに置いています。ですから、E邸が売りに出されたときは、ショックを受けました。あの歴史的な建物、見事な庭、豊かな屋敷森等を何としても保存したいと思いました。しかし当時私は区議会の環境建設委員長でした。

 そんな肩書きの人間が表に出たら「職権乱用」と思われる恐れがあり、運動のブレーキになりかねませんでした。そこで環境建設委員会理事で無所属の根本二郎さんに、運動のまとめ役を引き受けてもらいました。当初近隣住民は区議会に対し「みどりを守る陳情書」を提出。議会は超党派で「業者に住民尾との話し合いを充分に行うように要望する」陳情書を可決しました。とくかくこの土地は、570坪もあるのに公道との接道幅は4mしかなく、その幅のまま40m余続く典型的旗竿状敷地です。陳情可決で、業者の姿勢も軟化するかと思いましたが、樹木を伐採し敷地一杯二を重層長屋を建てる計画に全く変化がありませんでした。そこで住民は篤志家提供の2億円を中心に「下落合みどりトラスト基金」を設立し、当初の売値を上回る75000万円の3分の1を寄付するから区は残り3分の2を負担として買って欲しいという申し入れを入れました。ところが何と、区長との面会時間について前日に打ち合わせ、決定したにもかかわらず、その日の午前中、新宿区はこの変則的旗竿敷地に都建築安全条例の特例という形で「安全認定」をしてしまいました。この直後75000万円の土地は108000万円にはね上がってしまいました。私はこの時から環境建設委員長という公司役を降りて、住民側の立場に立つことにしました。行政の窓口が、区長と住民の話し合いの内容も時刻も知りながら、独断で、こういう歪んだ認定をしたのだから、行司が軍配を投げ捨てても許されると思いました。

2. 高裁の判決は、住民の訴えが単に環境保全だけでなく、建物は完成したら今までの経過を知らずに入居するであろう30戸の住民の生命、財産を火災から守るための「正義の裁判」であることを理解して下さった点で、実に嬉しい。2回の新宿区建築審査会、1回回目の地裁の判決の中途で私は諦めかけたが、「正論が通らぬはずがない」と、決して諦めなかった下落合みどりトラスト基金や住民の皆さんに、心から敬意を表します。

3. 区はおとめ山公園の周辺の公務員宿舎住宅を買収して「区民ふれあいの森」を創ります。この森と「野鳥の森」「薬王院の森」をつなぐ線のレベルの中継地としてこの敷地に緑の復活を望みたい。

田中のりひで議員(共産党)

 14日の高裁判決全面勝訴でおめでとうございます。日本共産党区議団としても、19日に緊急雇用・経済対策の申し入れをおこなった際、区長に口頭で最高裁への上告せず、高裁判決にそった対応を申し入れました。上告期限は28日と思いますが、この日に総務区民委員会には報告されるそうです。以下質問には簡単にお答えします。

1. 住まいは上落合1丁目、下落合駅そばです。日本共産党に所属し、現在は福祉健康委員会の委員長をやっています。環境については自分でできることは移動の手段はできる限り、自転車や徒歩にする。クーラーなどの使用は控えるなど、できることは少しでも努力する、太陽光 や風力、みどり、水、雨水の活用など自然との共生と活用を広げたいと思っています。

2. 区は率直に過ちを認め、最高裁への上告をせず、高裁判決に従い工事の中止など速やかに対応すること。

3. みどりなどを保全し、さらに自然が活かされるように地区計画などを緑被率の目標を定めるなど自然と文化を保全する内容にしていく。

根本二郎議員(無所属)

1. 現在・新宿区議会自治・地方分権特別委員会委員長。総務区民委員会委員。議会運営委員会理事無所属クラブ幹事長 6期目。

 水、みどり、空気は人類の生存にとって欠かせないものです。しかし、大量生産、大量消費、大量廃棄の社会・経済システムは無駄を産むだけでなく、地球規模での環境破壊、温暖化を招き、今や人類の生存すら危機的な状況に直面しています。私たちは危機意識を持って、経済成長至上主義を転換し、地球規模で、人類の持続可能な発展の範囲における成長を成し遂げる社会を作らなければなりません。必要な物を作り、大切に使い、廃棄物を出さない。化石燃料から自然エネルギーへの転換。水、みどり豊かなまちづくり。地産地消。など喫緊の課題です。その実現のために新宿区で全力あげて活動しています。

2. 正しい判決であり全面的に支持します。「規制緩和」という名のもとに建物の安全性や秩序あるまちづくりを大幅に後退させてきた、この数年の政府や行政の施策を、司法が明確に批判したと認識しています。政府や自治体は、このことを真摯に受け止め施策の転換を図るべきです。

3. 落合地区は新宿区内で最も緑豊かな地域です。しかし、この数年で最も緑の減少率が高いのも落合地域です。第1は、良好な住環境を売り物にしながら、緩和された容積率一杯に建築し、住環境を破壊している事業者と、それを容認している建築基準法に問題があります。建築基準法の改正を求めながらも、区独自に住民の皆さんの合意のもとに「地区計画」を定め、緑や住環境の保全に取り組まなければならないと考えています。第2に、おとめ山に隣接した国有地や民有地を買い取ったように、区が積極的に土地を取得し、落合の斜面緑地の保存拡張に努るべきと考えています。そのためにも「みどりの基金」の増額を図らなければなりません。

のづたけし議員(無所属)

1. 昭和38年生まれ 早稲田大学第一文学部卒。区議会議員現在3期目、下落合3丁目に妻と在住。

 環境については、地球規模での温暖化問題というテーマよりも、むしろ身近な都市空間における環境保全に関心があります。古代社会を例にあげても、ギリシャの諸都市が自然との調和による都市空間を形成していたのに対し、ローマは人工的な都市計画で緑は失われてきました。そのためか歴代の皇帝や元老院議員をはじめ、一般の市民でも豊かな者は都市以外に郊外にビラ(別荘)を所有して、都市との二重生活を送っていたそうです。人が求める人間的な生活には、一定の自然環境が確保されるべきことの証であります。これは単に憩いの場としての公共の公園を増やしましょうというだけでなく、室内環境や仕事環境のあり方なども含めて議論されていく問題と考えます。

2. 一定の司法見解が出たわけで、皆様の運動の成果として喜ばしいことと考えます。しかし、「覆水、盆にかえらず」の言葉もあるように、すべてを元に戻すということは現実的に不可能と思われます。要はこの結果が、今後新宿区をはじめとする行政に対して、どのような一石を投じるかではないでしょうか。ともあれ、現在はこの件に関する新宿区の対応を見ながら、議会として住民が納得するような着地点を模索していけばと思います。

3. これは下落合に限ったことではありませんが、今回の運動から私達も学んだこととしては、「問題が起きると予想された時は、とにかく迅速に行動しなければならない」ということでした。それには区民一人一人の環境保全に向けての意識を高めること、地域での情報ネットワークを強めることが大切であると痛感いたしました。

深沢としさだ議員(自民党)

 私共地元議員として、おとめ山の公務員宿舎の新宿区買上げ等、超党派にて協力して参りました。お申し越しに通り、緑の大切さ、グリーンベルトの保全は大きな問題だと思っています。ただ、本件につきましては議会にて既に議論された問題でもあり、今回は行政に処し方を注目して参りたいと存じます。

 

 

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