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新宿区建築課が「非公開文書」を公開

 

  新宿区下落合の住民の方が、2006(平成18)81日、新宿区長に対して下落合4丁目9番地に建設予定の建物および工作物(擁壁)についての<確認申請書類><消防同意書>、その他申請者との<協議資料>など公文書の公開請求を行いました。ところが、新宿区建築課は請求に対して一部の公開を行っただけで、「特定の個人を識別できる」あるいは「法人の権利利益が著しく損なわれる」、「犯罪予防のため」など理解に苦しむ理由をあげて、文書の大部分を非公開としました。

 

  住民の方が文書の公開を求めて東京地裁に提訴したところ、急遽、新宿区は態度を豹変させ、全面公開に方針を転換しました。これにより、住民の方は関係書類のすべてを入手することができました。

  昨日(29)、東京地裁より出された本件をめぐる裁定には「却下」とありますが、今年の117日付けで新宿区が非公開とした文書を、被告である新宿区自身がすべて公開する変更決定を行い、原告側(住民側)に通告しましたので、この訴訟(文書非公開の取消請求)の目的はすでに達成され、訴えの事由が消滅していることによる「却下」というのがその趣旨です。

  したがって、今回の提訴は住民側の実質勝訴ということになりますが、はからずも明らかになったことは、区民に密着してその意向や利益を代表しなければならないはずの区政が、時代錯誤の「由らしむべし知らしむべからず」*による“愚民政策”を相も変わらず取りつづけていることでした。区民に対するこのような態度を改めない限り、新宿区建築課はパブリックサーバント(公僕)ではなく企業サーバント(企業僕)であると非難されてもしかたがありません。

  また、今回の訴訟は、区民の公的権利の行使がいかに重要であるか、そして権利の行使によっていかに行政の透明度をより高めることができるかを、痛感させられる出来事でもありました。

 

*為政者の決めた方針には人民を従わせるが、決定した方針の理由を人民に知らせる必要はない。(論語)

 

 

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