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いまだ重層長屋の建設は手つかず

 

 日増しに朝晩の気温が低くなり、樹木の多くが伐採された“たぬきの森”も、すっかり秋色が深まってきました。重層長屋(実質マンション)の建設が計画されている、伐木された敷地部分では草苅りが行われましたが、周囲にかろうじて残る柿の木は今年も変わらずに、だいだい色の見事な果実をみのらせています。柿が大好物のたぬきたちも、実が熟れるのが待ち遠しいのでしょう。

 

 新宿区により建築確認が下ろされてから、そろそろ3ヶ月が経過しようとしている“たぬきの森”ですが、いまだに重層長屋の建築は開始されていません。周辺住民のみなさんにより再び提起された、建築確認および特例安全認定の審査請求が進行中だからなのでしょう。また一方で、地裁の判決を受けたあと高裁への上告案件など、建設を開始してしまってから「建築確認取り消し」または「違法建築」の判断が下された場合、建設中の建物をすべて解体しなければならず、建設業者はそのリスクを回避しているせいだと思われます。

 換言すれば、“たぬきの森”の建設計画が明らかに合法的でなんの問題もない、自信をもって胸を張れる順法の建築計画であるならば、とうに建設に着手されているはずなのです。それができないということは、裏返せばこの業者自身がコンプライアンス(法令遵守)に懸念を抱いている、明らかな証左といえるのではないでしょうか?

 

 それでも、強引に建築を始めてしまわないところに、この業者に残る一抹の「良心」が感じ取れないでもないですが、いまからでも決して遅くはありません。コンプライアンスに関する課題が、社内の問題意識として遅ればせながら形成されているのであれば、予算を用意済みの新宿区へ“たぬきの森”を譲渡していただけないものでしょうか?

 

 現在、明らかな違法建築を強引に推し進め、建設工事の途中で「建築確認取り消し」あるいは「建築基準法違反」の判定事例が、都内各所で相次いでいます。そんな大手業者が多い中で、建築には着手せず、樹木は伐ってしまったとはいえ新宿区へ譲渡されるのであれば、企業のコンプライアンス精神を一応貫き、地元住民の声に耳をかたむけ社会的な貢献をした建設業者として、新日本建設の企業イメージは大きく変わることでしょう。

 新宿区の公園化予算と「下落合みどりトラスト基金」の募金とを合わせ、少なくとも当初の屋敷森売り出し価格(75,000万円)を超える買い取り予算が用意されています。「トラスト基金」としましても、みなさまからお預かりしている23,500万円の基金が無駄にならないよう、再び新宿区との交渉に入っています。現在、地裁判決や消防署の意見書に関して、マスコミの取材が進行中です。また詳細がわかりしだい、当サイトにてご報告いたします。

 

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