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伐採通告されても芽吹く森の樹木たち

 

  3月に入り薫風が吹きはじめるとともに、暖かい日が増えてきました。屋敷森をめぐり、業者は樹木の伐採を3月中旬より開始する・・・と、一方的に通告したままの状況がつづいています。そのような中で、まるで何ごともなかったかのように、屋敷森の花々は黙々と開花の準備を進めています。

  今年のサクラの開花は、昨年(48日ころ満開)に比べて大幅に早くなりそうです。予測どおりに季節が移ろえば、320日ごろにはまず屋敷森の桃が満開になり、桜の巨木は3月下旬に咲き誇るはずです。新宿区へ提出した建築確認や、周辺住民のみなさんが起こされた裁判のゆくえさえ混沌としている中、業者はこれら樹木を含めた森全体を伐採しようとしています。

 

  新宿区の目白崖線(バッケ)に残された、いまや貴重な武蔵野原生の自然を愛でる区民にとっては、業者が作成した「工程表」と称する森林伐採スケジュールを前に、哀しさを通りこして空虚な気持ちにさえさせられます。裁判の結果によっては、「重層長屋」の建設自体にストップがかかる可能性が高いにもかかわらず、森林を伐採してしまっては二度と取り返しがつきません。もしそのような結果になれば、屋敷森の伐採はまったく意味のない行為となります。裁判が未決状態のいま、無意味な森林伐採となりかねない作業を、あえて強行する建設業者の社会的責任およびモラルを、再び鋭く問いたいと思います。

 

  「下落合みどりトラスト基金」や周辺住民のみなさんが希望する、新日本建設株式会社の代表取締役および役員との面談すら、いまだ実現していません。また、このところ活発化している、テレビや新聞など各種メディアの取材からも、業者は逃亡してなんら答えようとしません。下落合・目白界隈の住民のみなさんはもちろん、ご寄付や署名をいただきました数多くの新宿区民や東京都民の反発をかい、係争中の裁判で安全性にも大きな疑問が投げかけられているこの集合住宅へ、いったい誰が入居するというのかはなはだ疑問です。

  屋敷森に隣接する、“下落合グリーンベルト”の西端にあたる薬王院の森では、紅白の梅が見ごろを迎えています。800本の牡丹が咲きみだれた西坂・徳川邸の「静観園」に次いで、60年代より「ぼたん寺」として全国的に知られる薬王院には、牡丹や梅をはじめ、大きな枝垂桜も見事に咲き誇ります。都心とは思えない静寂な時が流れ、まるで山寺を思わせるような風情を感じさせてくれます。

  「トラスト基金」では、薬王院のみなさまからも十分なご理解とご支援をいただいています。下落合へお越しの節は、美しい樹木が繁る旧・遠藤邸の屋敷森内へ入ることはかないませんが、薬王院の花々が香る境内や森、また野鳥の森公園やおとめ山(御留山)公園の美しい森をご覧いただければ、新宿区に残るいかに貴重な森林であり、みどりであるのかがご理解いただけるものと思います。

 

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