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中山新宿区長へ公開質問状

 

  防災上の観点から、屋敷森への集合住宅建設がたいへん危険であることを踏まえ、22日に周辺住民のみなさんが、伊藤新宿消防署長と中山新宿区長あてに上申書を提出したことはご報告Click!しました。「下落合みどりトラスト基金」ではこれを受け、「建築確認」が申請中のいま、当サイト上に公開質問状というかたちで、改めて中山新宿区長に問いかけたいと思います。

 

  これらの危険な状況をそのままにし、あるいは見過ごされるかたちで、「建築確認」を下ろしてしまうことのないよう、ここに切にお願い申し上げるしだいです。

 

下落合屋敷森の開発に関する公開質問状

 

 平成18130日、業者が下落合4丁目(仮称)エクセレント目白御留山集合住宅に係る建築確認申請を新宿区御当局に提出したと伺いました。

 さらに、業者は、22日の説明会において、213日から新築工事に伴う撤去工事を開始すると言明いたしました。しかも、業者は、新宿区御当局(建築課、道とみどりの課等)から申請内容につき了承して貰っていると申しております。

私ども区民といたしましては、同申請受理及び撤去工事開始につき、下記のような疑問点があります。これらの点につき新宿区御当局の考えを業者から説明を受けるのでは、何とも納得いたし難く、また、事は急を要しておりますので、誠に恐縮ながら、新宿区長殿に直接公開質問状を提出させていただきます。

 貴職の標榜する行政の透明性を確保するためにも、私ども区民に直接速やかに誠意を持ってご回答を頂戴いたしたく、お願い申し上げます。

 

問1 新宿区長の指導との関連

 

 新宿区長は、各業者の代表取締役に対し、「建築申請にあたっては、十分な計画等、近隣住民に対し配慮に遺漏のないようお願いいたします」との要望書を提出しているにも拘らず、区民側が提出している様々な疑問点に業者が何ら答えていない現段階で、建築確認申請をあえて受理したのは如何なる理由があるのか。

 

問2 みどりの条例との不整合

 

(1) 新宿区長は、みどりの条例第25条第1項の規定により、新日本建設が提出した緑化計画書を平成18112日付をもって認定した。その認定の条件として「既存樹(クスノキ)の移植に際しては、今後施工計画書を提出させ、工法や時期などについて協議する」としている。従って、当該協議が整わなければ、みどりの条例の手続きは完結せず、協議が整う前に建築申請を受け付けることは、建築確認の前に緑化計画の手続きを終了すべしとする新宿区の指導文書に抵触するのではないか。

 

2オオクスノキを移植することは、技術的に、植物学的に、生態学的に果たして可能なのか。この点につき、専門家による学術的評価、エビデンスを踏まえて、新宿区御当局が上記協議を行うものと考えるが、その日程はどのようになるのか。業者は、222日から樹木伐採を開始すると説明しているが、少なくとも上記協議が相整うまでは、新宿区として樹木伐採を認めるべきではないのではないか。

 

3新宿区長は平成17年10月31日付、業者に対し、「新宿区では、この敷地にある既存樹木の現地調査を行い、クス、ケヤキ、キンモクセイ、シラカシなどの貴重な樹木がたくさんあることを確認しました。区は、この確認を踏まえ、今後、建築に際しては、緑化計画制度に基づく緑化基準を満たすことは当然のこととして、特に、上記の既存樹木を保全した計画とするよう強く要望いたします。」旨、要望書を出しています。認定の「緑化計画は」は、少なくとも上記要望書記載の緑化内容を履行するものでなければ、新宿区の指導文書に抵触するのではないか。そして、上記協議が相整うまでは、新宿区として樹木伐採を認めるべきではないのではないか。 

 

問3 安定認定処分の危険側への変更

 

(1)緑化計画の認定に伴い、新宿区長殿が平成16年に1222日付で行った安全認定の基礎となった事情に大幅な変更があり、しかもそれらは危険側への変更である(安全空地、消防活動用空地の縮小、植栽による消防活動、避難への障害等々)にもかかわらず、認定処分の見直しを行わず、建築確認申請を受理したのは何故か。

認定処分は、このような事情の変更があっても見直す必要がないのか。それとも、建築確認審査の段階でこれらの認定の基礎となった事情の変更についても逐一詳細に検討して、これから改めて結論を出すというのか。

 

(2)特に、同日付認定通知書には、「認定申請書の添付図書の記載通りに施工すること」を条件とし、「以上の事項が遵守されない場合は、認定を取り消すことがある」と記載されている。次の具体的な諸点は、明らかに添付図書記載の条件に違反するものであるから、認定処分を取り消すべきではないか。

 

 @同添付図書によれば、本件敷地の東側境界線との間に2.5mの安全空地を設けることとなっているが、今回説明会で配布された図面では2.0mであり、しかもかなりの部分1.5mに満たない。なお、境界線の植栽は、避難、消火、三連梯子による救助等の活動を明らかに阻害する。

 

 A同添付図書によれば、本件敷地の南側境界線との間に2mの安全空地を設け、避難経路とすることとなっているが、南側は傾斜地であり、避難経路として機能する平地は1.5mに満たない。

 

問4 敷地南側崖地崩壊問題

 

 確認申請の書類では、敷地南側崖地の崩壊防止のためにどのような措置を(よう壁等)を講ずることとなっているのか。新宿御当局は、建築確認申請の審査に当たって、この問題(特に土木工学上の安全設計の証明)をどのように判定するのか。それとも、宅地造成法による許可を別途必要とし、その手続きの中で安全性を確認するのか。

 

問5 近隣自治体における取扱との比較

 

 下落合みどりトラスト基金は、東京都建築安全条例第4条第3項による特例認定が他       市区等においてどの様に行われているかを調査した。同調査によると、最近他市区等において43項を適用した例はほとんど存在せず、下落合の屋敷森と同じようなケース(狭隘な長い接道条件の敷地に大規模な集合住宅を建築)について特例認定するかどうかという質問に対し、認定すると回答した市区等は皆無であった。

 新宿区長殿は、他区と全く同じ東京都の条例を施行しながら、他区に例を見ない認定処分を行ったのは何故か。新宿区下落合地区は、他区に比して火災、地震等の面で安全な地域とでも考えているのか。

 

問6 審査請求、訴訟との関連

 

 最近、中野区や仙台市、広島市等で敷地に関する規定違反で建築確認が取り消され、工事が中断される事案が相次いでいる。このような状況に鑑み、本件の場合も、今後建築審査会や裁判所で認定処分、建築確認等が取り消される可能性が十分に予想されるところ、新宿区長殿には、環境保全、国民経済的な観点等をも勘案し、少なくとも最終的に法的決着が着くまで現状を変更しないよう然るべき手立てを講ずるべきと考えるが如何か。

 

7 審査請求、訴訟との関連

 

 下落合みどりトラスト基金は、これまで地域の潤いある環境を守るため基金を募り、大きな成果を上げて来ており、新宿区区長殿もこれに答え公園化の予算を確保するなどのご英断をなされた。このことは、近隣自治体はもとより、広く全国的な関心の的となり、建築、庭園等の専門家からも高い評価されている。このような状況の中で、突如樹木を伐採するのはあまりに唐突であり、新宿区長殿には世間の動向に耳を傾け、区民の意向を十分に配慮し、慎重に時間をかけ、後世に悔いの残らない様な最適の結論を出すべく、業者と協議すべきと考えるが如何か。

 

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