中野区のアンケート結果と議事録を入手 中野区が東京22区に対して行った、中野3丁目のマンション建設に関連したアンケート、および中野区建設委員会の議事録、アンケート結果などを入手しました。 アンケートの趣旨は、集合住宅に接する道路が、実際には約4mほどしかないにもかかわらず、マンションの敷地まで含めて無理やり「6m道路」として建築申請してしまう是非を問うものです。このような計画は、通称「へび玉」と呼ばれており、「へび玉」による申請ケースClick!に対してどのような対応をするのかを、中野区が各区にアンケート形式で訊ねたものです。 ちょうど、蛇がなにかを呑み込んだときに、身体の一部だけが大きく膨れる様子に似てていることから、「へび玉」と名づけられたのだと思います。たとえば、以下のような建設計画と道路の例が、「へび玉」の典型的なケースです。 マンションの前の道路だけを見れば、道幅は6m確保されていて法的には問題がなさそうに思えますが、建設予定地の左右を見れば4m道路のままですので、実質は敷地が6m道路に接しておらず、詭弁的な図面上の作為であることは明らかです。なによりも、安全・防災の側面から見れば、実際には緊急車輌が入りこめないなど、危険きわまりない建設計画であることがわかります。 中野区が都内各区へ向けて行ったアンケートとは、以下のようなものです。
このアンケートに対して、その回答をもとに今年(2005年)の6月10日に、中野区議会の建築委員会が開かれました。その審議の議事録によりますと、「へび玉」状に造られた道路を「6m道路」として扱うか?・・・という質問1に対して、「扱う」と答えた区はゼロ。逆に認めないとした区が、15区もありました。また、「へび玉」を認定の対象とするか?・・・という質問2に対して、「対象とする」と答えた区はゼロでした。以下、審議会の議事録(抜粋)です。
さて、東京の各区がどのような回答を中野区へ寄せたのか、以下にまとめてみました。
結果を見ますと、ほとんどの区が「へび玉」に関する“特例”は、周囲状況を考慮して検討するとの感触です。ちなみに、渋谷区は5.4mあれば周囲の状況を考えて認める可能性があると明文化されており、豊島区の場合は4mとなっています。東京都建築安全条例・第4条Click!(ページ末参照)の第1項と第2項の違いはあれ、これらは常識的範疇と考えられます。 また、調べていて驚きますのは、中野区は第4条・第3項の特例認定は過去一度もないとのことでした。さらに、明文化している渋谷区でさえも、過去3年で一度も特例認定がなく、豊島区は1年半でたったの2物件のみとのこと。まさに「へび玉」を許容する認定は、特例中の特例(ほとんどありえない例外)であることがわかります。 下落合の屋敷森ケースは、周囲を崖と塀で囲まれ、なおかつ敷地が袋小路となっているため、安全確保がきわめて難しい状況なのは何度もお伝えしてきたとおりです。第2項よりも、さらに広い8mの接道路が必要であるにもかかわらず、わずか半分の4mしかありません。また、この4mの接道も公道ではなく、30m以上つづく路地であることを考慮しますと、わざわざ第4条・第3項を当てはめて特例安全認定した新宿区建築課が、いかに異常かつ不可解であるかがわかります。視察が予定されている新宿区・環境建設委員会の方々も、ぜひこれら他区の常識を考慮していただき、ご判断いただければと思います。 <<参考>> ●東京都建築安全条例第4条・第1項 延べ面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合は、その延べ面積の合計とする。)が千平方メートルを超える建築物の敷地は、その延べ面積に応じて、次の表に掲げる長さ以上道路に接しなければならない。 ・千平方メートルを超え、二千平方メートル以下のもの(六メートル) ・二千平方メートルを超え、三千平方メートル以下のもの(八メートル) ・三千平方メートルを超えるもの(十メートル) ●東京都建築安全条例第4条・第2項 延べ面積が三千平方メートルを超え、かつ、建築物の高さが十五メートルを超える建築物の敷地に対する前項の規定の適用については、同項中「道路」とあるのは、「幅員六メートル以上の道路」とする。 ●東京都建築安全条例第4条・第3項 前二項の規定は、建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合においては、適用しない。 |
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