下落合の動物たち<セミ>
この一文は、竹田助雄氏が表現した御留山(御禁止山=現・おとめ山公園)の情景です。いまから43年前、東京オリンピックが2年後に迫った1962年(昭和37)ごろ、まだ公園化される前の御留山の風情ですが、数が減ったとはいえヒグラシの声は、午前5時ごろ早朝あるいは夕暮れにかけ、いまでも下落合のあちこちで聞くことができます。 ヒグラシに限らず、下落合のグリーンベルトには夏になると、実にたくさんのセミの合唱が聞こえてきます。40年以上も前の御留山のように、手を伸ばせば捕まえられるほど、もはや数は多くはありませんが、それでも新宿区内あるいは東京都内の住宅地としては、セミの棲息数はかなり多いほうではないかと思います。 夏の強い陽差しを避けながら、かろうじて保存されている下落合のグリーンベルトに繁る樹木の下を、セミの鳴き声を聞きながらゆっくり散歩するのも、夏休みのいい思い出になると思います。「下落合みどりトラスト基金」が保存をめざしている屋敷森も、公園化が実現したあかつきには、涼やかな木陰でセミしぐれに包まれながらゆったりとした時間をすごすことができる、区民憩いの場のひとつになることは間違いありません。 それには、ぜひみなさんのご協力が必要です。「トラスト基金」の活動を、今後とも引きつづきよろしくお願い申し上げるしだいです。では、下落合界隈で観察できるセミたちをご紹介しましょう。 ▲40年前は下落合でもっとも数が多かったヒグラシ(通称カナカナ)、左は♂で右は♀。 ▲数は少ないがときどき鳴き声が聞こえるツクツクホウシ、左は♂で右は♀。 ▲左は新宿でもっともポピュラーなアブラゼミと、右は透明な翅と緑の体色が美しいミンミンゼミ。 ■写真:「大図典View」(講談社/1984年) |
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