トップページ

下落合の動物たち<ハクビシン>

 

昨年、新型肺炎SARSのウィルスを媒介すると、中国の「専門家」(共同通信より)が発表して話題になりましたが、どうやらいまから見ますと濡れ衣の公算が大きいようです。中国内外の学者による研究も進み、現在ではSARSウィルスの媒介源は再び「不明」が大勢となっているようです。流行の初期、国民のパニックを抑制するために、媒介源の早期特定を迫られた中国当局が、食用とされているハクビシンをとりあえず「名指し」したのでしょうか?

 

ハクビシンは、江戸時代に中国から輸入されたと伝えられていますので、「帰化動物」としてはかなり古い部類に入ります。それがいつの間にか野生化し、日本の野山でも繁殖しました。戦後、米国からアライグマがペットとして輸入され、日本の山林で野生化した経緯にとてもよく似ています。最近では、やはり中国からやってきたバリケンを近くの池などで、カルガモやマガモに混じって見かけます。ジャコウネコ科に属するハクビシンは、山梨県や長野県では天然記念物に指定されていましたが、どうやら「帰化動物」だということがわかり、のちに指定を解除されました。

 

たぬきと同様に夜行性で、食性もよく似ています。甘い果実が大好きですが、両生類や昆虫なども蛋白源として食べているようです。下落合のハクビシンも、杏や枇杷、柿などの甘い果実や昆虫類、ときには人間の残飯などを食べて暮らしているのでしょう。ふつうは樹上で生活していますが、住宅の天井裏などに棲みつくこともあり、たぬきに似て人の気配をそれほど怖れません。

 

中国では、甘いもの好きの性格から「菓子狸」と呼ばれています。「狸」と名づけられていますが、食肉目イヌ科のたぬきとは少し縁遠い、食肉目裂脚亜目ジャコウネコ科の動物です。果物を栽培する農地などでは作物を食い荒らすため、害獣に指定されているようですが、下落合の森では目立たずひっそりと暮らしています。

(バリケン/目白崖線沿いの旧肥後藩下屋敷・新江戸川公園)

 

 

Copyright © 2005 Shimoochiai Midori Trust. All rights reserved.