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321日の「下落合みどりトラスト基金」第2回報告会レポート

 

「下落合みどりトラスト基金」の第2回報告会が、321日(月)午後7時より落合第一地域センター3階の集会室において開催されました。今回は、前回(39)を上まわる120名の方々が集まり、かなり多めに用意したイスもほぼ満席となるなど、前回にも増しての盛会となりました。新宿区議会からも、議員の方々が出席してくださいました。

また今回は、落合地区以外からわざわざみえた方や、フジテレビのクルーが取材に訪れるなど、「トラスト基金」の認知度が確実に高まっているのを実感できる報告会となりました。

 

■ビデオ放映

初めて報告会へみえた方のために、212日に放送された日本テレビの「報道特捜プロジェクト」録画ビデオ、「トラスト基金」が制作した見学会の様子や、新たに314日に米国から駆けつけてくださいました石川幹子先生、さらに大崎清見先生による調査後のインタビューを収録したビデオなどを上映しました。

 

■経過報告

「下落合みどりトラスト基金」の経過報告、また最新の動向などをプロジェクタを使って、武田事務局長より簡単に報告させていただきました。特に、「トラスト基金」と新宿区の拠出予定額を合わせても、新日本建設の提示額といまだ3億円の開きがある現状を報告させていただき、新宿区および新日本建設へのより強い働きかけの必要性を訴えました。さらに、前日公表された「建築史研究者有志のみなさまからから中山新宿区長への請願書」を、本日(3/22)の午前中に新宿区へ提出することになり、それへ同行される方、および賛同署名の呼びかけを行いました。

 

■伊郷吉信様による調査報告

文化女子大学・造形学部講師の伊郷吉信先生(伝統技法研究会員)により、大正から昭和初期にかけて建てられたとみられる旧遠藤邸に関する、詳しい解説をしていただきました。屋敷は総ヒノキ造りで、丸太の特質を活かした数寄屋造りの特徴が見られ、茶道を意識した意匠であること、天井をはじめ洗面所や流しにいたるまで非常に丁寧な造りがなされていること、昔の生活の風情がそのまましっかりと残されていて、屋敷と庭園の存在自体が東京でもきわめて稀であり、願ってもない貴重な建築資料であること…など、スライドを使って次々と写しだされる映像とともに力説されました。さらに、上記の請願書についても、署名されている先生方のご紹介や請願内容を説明いただき、本日(3/22)は新宿区役所へも同行してくださいました。

 

■質疑応答

前回は閉館時間が迫り、あまり質疑応答の時間がとれませんでしたが、今回は1時間余にわたり質疑応答が行われました。以下のようなやり取りや意見が出ました。

なぜ新宿区は、不足分のおカネを出せないのか?

公園費は、財政難なので最近は区予算で組まれていない。それでも、区がなんとか捻出しようとしてくれているのは、「トラスト基金」の募金活動の広範な拡がりと、専門家の方たちの評価がきわめて高いからだと思う。これからは、いかに新日本建設の提示額との間にある差額を埋めていくか、募金の継続と値下げ交渉に全力をあげたい。

新宿区や東京都のほうで業者を呼び、行政指導的に法外な価格の値下げ強く要求できないのか?

全力をあげたいと思う。ただし、区民の税金をつかうわけなので、より広範な合意が必要ではないかと思う。そういう意味で、「トラスト基金」へ莫大な浄財を寄せられたみなさんの熱意と、少しでも多くの要望署名がたいへん重要だ。

中山弘子新宿区長への要望署名

新日本建設(株)への要望署名

「みどりを守る」というテーマは、単に新宿区や東京都だけの課題ではなく、これからは世界のメインテーマとなっていくと思う。子孫の代に、いったい何を残せるのかを、じっくり考えてほしい。新宿区の対応がバラバラなのがたいへん残念だ。中山区長のお考えを、ぜひじっくりうかがってみたい。

新日本建設は「緑化計画書」を出していないので、それを認可しなければ建てられないのではないか?

手続き的にはそうなのだが、新宿区は一度建築の認可を出してしまっているため、今度は業者側から新宿区の責任が問われることになる。(おかしな認可を出したのだから問われても仕方がないじゃないか・・・との声あり) また、建物の解体・移築は、区の許可を必要としないのでいつでも取りかかれる。建物の建築に関しては条例があるが、取り壊し解体には法的な規制がない。新宿区議会でも、建物に関する解体条例を議員立法で作りたい。

「トラスト基金」への寄付について、落合地区の企業に働きかけているのか?

もちろん、当たっているが、まだ企業名を出すことができない。また、環境保護に関心のある企業があれば、ぜひご紹介願いたい。(具体的に1社のご紹介あり)

まず、貴重な建物の解体・移築を止めるにはどうしたらいいのか?

解体・移築業者は、仙台へ移築を予定している。これは法的にも止めることはできない。「トラスト基金」の説得により、ご好意からかろうじて待ってもらってはいるが、いつまで待ってくれるのかは業者の判断なのでわからない。

近衛篤麿邸(下落合2丁目)の貴重な庭園が、1997年のある朝、突然伐られてしまった。そのときの新宿区の動きに比べて、今回はとっても動きや対応が悪いように感じる。緑を守るというテーマが浸透しているせいか、みなさんの動きはたいへんすばやいが、区役所へもっと強く要請すべきだと思う。また、もし業者からうまく新宿区が買収できたとして、では公園にするのか公共施設や資料館にするのか、何に使用するのかを早めに立案しておいたほうがいい。

今回もまた予定をオーバーし、地域センターの閉館時間ギリギリまで報告会がつづきました。質疑応答の時間を多く設定したせいか、次から次へと質問がつづきました。上記の内容は、ほんの一部です。どうしても屋敷と屋敷森を残したい!・・・という熱意が、前回にも増して強く感じられる報告会となりました。また、もうひとつの特徴は、インターネットを通じて報告会のあることを知った、若い女性たちの参加が目立ったことです。

最後に、何も描いていない白紙の看板を希望者へお配りし、「お子さんでもどなたでも、絵や文字を描いて、ご自宅の前に掲げるか、トラストメンバーのところへご持参ください」と呼びかけたところ、複数枚持ち帰られる方もおり、どのような作品ができるのか「トラスト基金」メンバーもとても楽しみにしています。

一夜開けた本日(3/22)午前9時、伊郷先生はじめ報告会参加者のみなさんや「トラスト基金」メンバーは、「建築史研究者有志のみなさまからから中山新宿区長への請願書」、および区長あての請願署名(報告会の127名分)などを新宿区企画部長、企画課長、総務部長へ手渡しました。

 

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