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大崎清見様による庭園調査レポート

 

227()の邸内見学・調査会へ参加されました、東京環境工科学園技術士(庭園調査)・大崎清見様の調査レポートがとどきましたので掲載いたします。なお、邸内をご覧いただきました直後のメールによる簡易レポートですので、改行や句読点、個人名の表記など若干編集いたしました。その責任は事務局にあります。その点、お含みおきください。

 

 

 27日に旧E邸の見学会に参加し、若干の感想と意見も述べましたので要点をご報告いたします。AM11時から1330分くらいまで、内外の見学と若干の感想や評価の時間も持ちました。私は、主として「庭園がどのような状態か?」を観察しました。建物を含め、短時間次ぎのように伝えました。

 結論は、「皆で協力し,ぜひこの歴史ある邸宅を保存と活用を図りましょう」と言うことです。   そして、建築は他の先生が話され、かつ今日(28)東大の藤森先生が調査しますので、感想を述べました。「この建築から得た感想は、私を明治の時間に戻してくれました。それは今は無き葉山の御用邸の印象を強く思い出させてくれる歴史建造物と思います。皇室ゆかりの新宿御苑にさえ、このような建物は無く、新宿区の歴史建造物として保存を願いたい」と言う主旨のことを述べました。

 一方、庭園ですが、ほぼ30分くらい見ましたが「ひょうたん池を中心に回遊式で、恐らく住まいの方が庭好きであったことが、樹種や配植にはっきり表現されていました」。特に明治初期の前田邸をここに移築されたときの、庭師さんの技術が懐かしく読み取れました。それは、樹木や下草を含め43種確認できました。庭には日本古来の日本庭園として、アカマツ、コウヤマキ、ツブラシイなどが配植され、一方、スイフヨウやセイヨウヒイラギ、園芸種のビャクシンなど外来種も配植されていて、日本庭園の思想の中にも、新しい住人の感覚が植えこまれていることが読み取れました。

 また、伊郷先生の所見にありますように、鞍馬石の沓脱ぎ、手水鉢、蹲居などその通りでした。敷地は、約1,900平方メートルですが、位置が目白崖線の真上で右に新宿副都心、左に街並みが展開の最高のロケーションです。惜しむらくは、門からお母屋玄関先から庭に入る左側もかつては同一敷地でありましたが、今は分筆され柵で区切られて若干異様な感がします。そこは芝生の広場で左外周林にはサクラやケヤキなどの大木があります。本来はその地域も一緒に保存したいところですが・・・。

 概要は以上の通りですが、見学済みの後、地域のたたずまいと近くの野鳥の森とおとめ山公園など見てまわりましたが、目白崖線は殆ど住宅化、周辺も三階建てのマンションで、緑地が残るところは、利用不可能な急斜面の僅かな場所しかありません。一方、旧E邸の右下には新宿区の野鳥公園、左手にやや離れておとめ山公園が谷を挟み立派な武蔵野林があり、湧水やホタル養殖もして、区の公園として区民の参加を得て、大変良い管理をされていることに関心しました。そしてこの旧E邸の敷地は都市緑地の面から見ますと、野鳥公園とおとめ山公園の間にあり、点在する少々残った斜面緑地とを結ぶ「緑のコリドー」として保全し、多くの区民が環境学習や歴史学習、安らぎの場として活用することが、大変有効なことと痛感致しました。

 いま、地元では基金の募集活動をし、区や議会に働きかけています。伺うところ、E邸は7.5億で事業者に譲渡し、地元トラスト基金では2.5億の募金を目標にすでに2.2億募金し、あと三千万円だそうです。しかし、区長さんも区の負担に結論は出していないようです。一方、業者はこの41日着工を公表していますので、何毎も急ぐ必要に迫られています。

 また聞くところによりますと、区も調査と業者に接触を始めた。とのことでして何とか前進を期待するところです。以上、大まかですがご報告させていただきます。

 

 

 

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