『下落合みどりトラスト基金』設立の経緯をご説明いたします。去る12月22日、中山区長殿にお時間を頂き、近隣有志により下落合4丁目9番地 旧遠藤邸の邸宅、敷地、およびみどりの保存のお願いにあがりました。しかし、区は財政難を理由に買い取りは困難との見解をお示されました。しかし、何とか保存をという願いがあり、我々は『下落合みどりトラスト基金』を設立いたしました。
この『下落合みどりトラスト基金』とは、新宿区にあって、貴重なグリーンベルトとも言うべき下落合の緑地帯の一角をなす、旧遠藤邸のみどりの保存のため、区に頼るだけでなく、住民自ら基金を募り、これを新宿区に寄贈、公園化としての買い取り額の一部に充てて頂くというものであります。『下落合みどりトラスト基金』は1月18日に設立を宣言し、2月6日には50名以上の有志により活動開始報告をしました。その際環境ネットワーク、事務局長・御所窪様、内籐町まちづくり推進協議会代表・首藤様、大けやきの会代表・春日様、中井みどりを守る会代表・中村様ほか、区内の主要な団体からも賛同と激励を受けました。
『下落合みどりトラスト基金』活動は現在、新宿区のみならず区外にも反響をみせ、大きな広がりを見せつつあります。基金活動開始後、わずか2週間である2月 22日現在、当初の2億円と合わせ、合計2億2000万円近くの寄付が集まりました。これは、住民の環境に対する関心の高さを示すと同時に、子供たちや後世に、先人が残してきたこのみどりの遺産を、自らの手で残したいという強い住民の意思と使命感を示すものであります。
また、現地見学会を通し、屋敷も残して欲しいとの声も多く聞かれました。2月19日建築史専門家の伊郷義信先生の調査によれば、屋敷の完成度は極めて高く、現在では建設が困難であり、当時の技術力の高さを示す貴重な建造物と聞いております。2月 25日より、この屋敷部分の解体が開始される予定があり、是非、屋敷の保存も含め再度ご検討頂ければ幸いでございます。
先日私どもは、区長の開かれた、『新宿まちづくりフォーラム』に参加させて頂きました。区長のお考えになられているまちづくりは、単に目先の発展だけにとらわれるだけでなく、将来の新宿のあるべき姿を目指し、行政として何をすべきということを、区民とともに話し合うという有意義な会であると感じました。問題は多くあります。しかし、今や新宿のみならず、都区内では類をみない緑地帯である御留山公園や野鳥の森公園も、かつては困難な道を経て、行政と住民の働きで残されたもので、今もなおその偉業は語り継がれております。住民の殆どはカラフルなビルやマンションの乱立は望みません。涼しげなみどりに囲まれ、空の広い新宿を願っております。
もう、我々に残された時間は僅かであります。是非、後世に誇れる自然文化公園の実現化に向け、区長のご英断を賜りたく、重ねてお願い申し上げます。我々も微力ながら、引き続きご協力させて頂く所存であります。
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