Chichiko Papalog 「気になる下落合」オルタネイト・テイク |
下落合、タヌキの通い路
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タヌキの棲息・移動ルートは、はっきりしている。木々の緑がいまだ多く連続して残っている、下落合南斜面に拡がる濃いグリーンベルト沿いにかけてだ。武蔵野原生林のままの木々も数多い。長さはほぼ500m、幅50〜100mほどのエリアとなっている。タヌキたちは、この緑地帯の中あるいはその周辺を、行ったり来たりしながらエサを求めて歩きまわっているようだ。 エサは、コンビニの廃棄弁当のこともあれば、エサをやっているお宅から出る残飯?(わざわざ肉屋さんから「エサ」を仕入れている住民もおられる)のこともあるし、森のそこかしこで実る木々の果実(柿/銀杏)などだ。子供を産んで繁殖しているところをみると、食餌事情はそれほど悪くはないらしい。ただ、野生動物が生息できるのはエサの有無だけではなく、棲家としての森や雑木林の存在が欠かせない。少し前、野鳥の森公園の崖面に巣穴が確認されているが、子供を育て終わったせいだろうか、巣穴はすでに移動したようだ。 タヌキの棲息地域、移動コース、目撃場所などを以下にまとめてみた。 |
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七曲坂の上、江戸時代から鼠山と呼ばれた尾根筋。いまでは、タヌキが頻繁に目撃されるエリアのひとつで、つい「狸山」と呼びたくなる。その西隣りの瑠璃山は、宅地開発が進んで1970年ごろには緑が急速に少なくなった。 いま、薬王院から西では、タヌキの目撃情報は聞かれない。おそらく棲息の西端は、野鳥の森公園から薬王院あたりだと考えられる。東端は、目白駅から高田馬場駅の間にある、山手線の線路土手あたりだろう。 |
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タヌキが頻繁に目撃される、野鳥の森公園から、その上に拡がる鼠山全景。武蔵野台地の稜線が、原生林も含めてほぼそのままのかたちをとどめているのは、 自然林はケヤキが多いが、クスノキやクヌギ、イチョウ、カエデ、ヤマザクラ、カシ、コナラなどがみられる。 |
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タヌキが抜け道として利用する、某お宅の庭園下にある細い通り道。文字通り、タヌキの通い路(狸道)だ。このような通い路には、タヌキが食べ散らした果実の皮が散乱している。下落合には、クリやカキ、イチョウなど実のなる樹木も多い。イチョウの銀杏は、タヌキの好物としてよく知られている。 |
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柿の木があるお宅では、熟して落ちてきた柿の実をタヌキたちが食べていたという。いまでも、その食べカスが残っていた。 渋い皮を器用にむいて種子もきれいに残し、甘い果肉だけを上手に食べている。木々に実のなる下落合の秋は、タヌキたちにとっても棲みやすい時期なのだろう。 |
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タヌキの存在を早くから知っていた住民たちは、山の斜面を横断するのに利用したタヌキの抜け穴を、ふさがずにそのまま残していた。だから、西から東へタヌキたちは自由に行動できていたのだ。 こういうほんのちょっとした気遣いが、タヌキに限らず野生動物たちの生存を助け、貴重な自然を残していく要因となる。 左写真は、某邸のタヌキの抜け穴。遮蔽物をぴったりと地表にまで設置せず、20cmほどすき間が空いている。タヌキたちはここを通って、おとめ山公園から野鳥の森公園を行き来する。 |
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タヌキは、「下落合みどりトラスト基金」のパンフレット表紙にも登場している。キャッチフレーズは、「おうちがなくなっちゃう・・・」。 この「下落合みどりトラスト基金」の活動と、パンフレットのテクスチャーに使用されている大正期の大邸宅については、近々改めて紹介したい。 |
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