Chichiko Papalog 「気になる下落合」オルタネイト・テイク

佐伯祐三のアトリエ拝見

 

 佐伯祐三のアトリエは80年代に母屋が解体される前、幸運なことに目黒区美術館のスタッフによって、1985(昭和60)に内部が精細に撮影されている。20年前に撮影された目黒区美術館の写真と、現在の内部とでは多少の違いがあり、母屋を解体した際に新宿区が保守メンテナンスのために手を加えた跡が見られる。

 では、母屋から入り、アトリエの内外部を改めて拝見してみよう。

 佐伯宅を訪れた人は、まず小さな門から玄関へ向かい、右手にアトリエの屋根を見ながら1階の玄関の式台へ上がることになる。(方向@A)

@  A

 左手は母屋の和室へと通じているが、正面の扉を開けると2階へと上がる階段が姿を現す。右手のドアが、アトリエへ入る入り口だ。

 B

 アトリエへ入ると、北へ向いた巨大な窓がまず目につく。2階の天井までの高さの空間に、吹き抜けで一気に立ち上がる採光窓だ。(方向B) 母屋解体の直前、この大窓の左端のガラスが1枚、失われていたのがわかる。他は、いわゆる「大正ガラス」のままだろうか?

 C

 佐伯祐三が増築した洋間を、入り口から眺める。(方向C) 右上にある排煙孔が、明かり取りの窓に改造されているのがわかる。1985年当時は、まだ内部に家具が残っていたが、現在は室内になにも置かれていない。

D E

 左は、アトリエと増築した洋間との接合部。(方向D) 佐伯自身による素人仕事のせいか、1985年当時、洋間外側の痛みがひどかったようだ。排煙孔も外からベニヤ状の板で、無造作にふさがれているのがわかる。 右は、現在の佐伯アトリエの北面。(方向E) 洋間の板壁も補修され、ペンキがきれいに塗られてアトリエとほとんど一体化している。

 

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