Chichiko Papalog 「気になる下落合」オルタネイト・テイク

 

冬の怪談

その1

書斎で、深夜まで仕事をしていた方がいた。うとうとしかかって、手にしたシャーペンをうっかり手ばなし、シャーペンはそのまま机の上を転がって足元に落ちてしまった。急いで拾い上げ、身体をまっすぐにもどして椅子の背もたれに背中をあてたとたん、後頭部になにか柔らかいものがドンと当たった。急いで振り返ったが、誰もいない。その当たった感触が、まるで人がそこに立っていたような、胴体の一部のように感じたという。(50代・男性/春)

 

その2

風呂に入って顔を洗っているとき、背中へまるでひっぱたかれるように、冷たい手をいきなりペタッと当てられた。手はそのまま背中を撫でるように、下へ瞬間的に移動して離れた。急いで振り返ってみたが、もちろん誰もいるはずがなかった。バスルームは、鍵がかけてあったそうだ。(30代・女性/夏)

 

その3

部屋で勉強していると、廊下をバタバタと駈け抜ける音がした。目のすみに、小さな女の子がチラッと見えた。妹がいつものように騒いでいるのだと思い、注意しようと廊下へ首だけ出して足音が駈けていったほうを覗いた。そのとき、背後から「いまの誰?」と妹の声がした。反対側の部屋にいた妹も、同じ女の子を見て足音を聞いていたのだ。(10代・男性/夏)

 

 

その4

ベッドで寝ていたら、いきなり右足の膝の上を誰かにつかまれて、下へ強くひっぱられた。家族のいたずらか、はたまた泥棒かと思い急いでベッドを飛び出してスタンドを点けたが、そこには誰もいなかった。(40代・男性/秋)

 

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