Chichiko Papalog 「気になる下落合」オルタネイト・テイク

永久に“塩漬け”しよう「補助73号線」計画

 

 どうして役人は、机上でこういうムダな計画ばかりを好んで立て、推進しようとするのだろう。約1kmしか離れていない大動脈(明治通り−山手通り)間に、なぜ、もうひとつ大きな幹線道路が必要なのか皆目わからない。こういうムダなことをしないと自分たちの仕事がなくなり、所内で自己のレゾン・デートル(存在理由)が確認できなくなってしまうのなら、いっそのこと大人しくボーッとひがな1日、遊んでタダ飯食らっててもらったほうが、よほど世のため人のため社会のため、街や環境を壊さないだけはるかにマシなのだ。

東京オリンピックのころに立案された「亡霊道路」が、いまだ計画廃棄にならずに生きていること自体に、なんら不可解さを感じない人間が棲息できる役所って、いったいなんなのだ?

地図2

 「補助73号線」が目白4丁目から下落合を貫通すれば、上の地図でも明らかなように、現在の閑静な住宅街の風情はまったくなくなると言ってもいいだろう。幹線道路沿いには高いビルが建てられるので、山手通りや新目白通りの現状を見れば、その将来の「町づくり」の姿が想い浮かぶ。

 住民が快適な生活を送れる社会が「町」だとすれば、これは明らかに「町壊し」計画だ。下落合に限ってみれば、目白通り−「補助73号線」−新目白通り−山手線に区切られた一画と、目白通り−山手通り−新目白通り−「補助73号線」に区切られた一画とに、完全に分断される。そして、その外側を高いビルがそそりたつようにして囲むことになる。

山手通りの地下高速道路から、高さ45mの巨大な排気塔がスーパーオリンピックの前に建設されれば、風向きによっては排気ガスが下落合全域に接地するため、さらにこの地区の喘息患者が増えることが予測されているのに、いったい役所は人の住む環境をなんだと思っているのだろう。

 60年代の高度経済成長下、イケイケムードの中で下落合から目白文化村を貫通する十三間通り(新目白通り/放射7号線)の建設は止められなかったが、現在は当時とは状況がまったく異なっている。税金のムダ遣いである公共事業にメスが入れられ、ようやくムダな道路やダム、干拓地などの建設にストップがかかるようになった。この道路計画も、池袋歴史資料館前で永久に“塩漬け”したいものだ。

 

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